ぐっない

パコと魔法の絵本のぐっないのレビュー・感想・評価

パコと魔法の絵本(2008年製作の映画)
5.0
世界の隅の、陽の当たらない、影の人たちの話

突然にパコを観たくなった。最初に観たのはたしか小学一年生とかの頃で、父と弟と一緒に映画館へ行き、三人でぼろぼろ泣いて映画館を出たことを覚えている。
思い出に残っている映画なので、今観てそんなに良くなかったらどうしようと思っていたけど、杞憂でした。大傑作だった。すくなくとも私にとっては、ずっと大切にしようと思える映画です。

あなたがいたというその感触だけ憶えている。そういうことってほんとうにある。声も顔も忘れてしまっても、たしかにあなたがいたことを心が憶えている。「パコの心にいたいんだ」、名台詞すぎる。
忘れずにいたい、ぜんぶ、ほんとうにぜんぶ、忘れずにいたい。知ってた?涙を止める方法は、いっぱい泣くことなんだって。

悪役がいないの、すごい。精神科病院かよってくらい患者も医者も気が狂った人々が集まった病院、天国とも地獄とも思える閉塞的な世界。
この世界観をつくりあげたことが凄すぎるし、テンポが素晴らしく、こんな風に映画ってつくれるんだと驚きました。感動の中に笑いを、くだらなさを、狂気を。
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