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ザ・レッド・チャペル
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『ザ・レッド・チャペル』に投稿された感想・評価

金正日政権下の北朝鮮でコメディの上演を許可されて、北朝鮮に渡航するデンマーク人たちによるドキュメンタリー。

「笑ってはいけない北朝鮮」かと思って鑑賞したら、ぜんぜん笑えない北朝鮮の実情を垣間見ることが出来た。

作品自体は2006年にTV向けに放送されたものを2009年に映画として再編集したものらしい。監督のマッツ・ブリュガーは、突撃ものを色々と手掛けてる人。

彼が引き連れてきたコメディアンは、二人とも韓国語を話せない朝鮮系デンマーク人。しかもその一人、ヤコブは脳性麻痺の障碍者コメディアン。この時点で、「北朝鮮で出来るだけトラブりそうな画を撮って作品にしてやろう」という悪意に満ちてる。

彼らを世話するのが、英語が堪能なパクさん。地方の市会議員にいそうなオバサンであるところのパクさんは軍で英語を学んだということで、明らかに秘密警察というか、監督たちの監視役。お互い、秘めた思いが180度違うので

監督「お会いできて光栄です」
パク「会えて感動したわ」
監督「えっ、何で?」
パク「愛国心で感動したの」

と、会話してても支離滅裂。つか、会話になってない。

そんな悪意vs悪意の緊張感の中で、二週間後の本番に向けてリハーサルを開始するデンマーク人、御一行。

最初にリハーサルするのが、そこらへんにある公園の空き地。国家に招聘されてんだから、もうちょっと良い場所あるんじゃないかという気もする。

リハーサルの様子を観た、現地の演出家のオッサンは渋い顔。どうやら、内容が気に入らないらしい。

次第に、演出家のオッサンとパクさんは作品内容の改訂を要求し始める。

・障碍者は実際は障碍者じゃないふりをしろ
・台詞は全部いらないので笛で表現
・北朝鮮のプロパガンダを入れろ

と、無茶苦茶な要求を突きつけて、内容がどんどん変わっていく。どーでもいいけど、笛で全てを表現させようとする現地の演出家のオッサンは、おそらく黒木香のファン。

全てが嘘と虚飾に満ちた北朝鮮での日々にストレスを感じた脳性麻痺のヤコブは、「こんな国最低だ」「俺は嘘がつけない」と本音を漏らし始める。ただ、デンマーク語なので、「この国は最高だと言ってます」「感動してます」と、全然違う意味に変換して、英語でパクさんに伝える監督。このへんのすれ違いは面白い。

リハーサルの合間には観光や表敬訪問が挟まれる。

カメラが回っている限り、ずっと拍手し続ける現地の小学生たち。朝鮮戦争の開戦記念日に、一糸乱れぬ行進を披露して「朝鮮戦争はアメリカが北朝鮮を侵略した」と信じさせられる国民たち。何百万人を餓死させたと言われる金日成の銅像の前で「偉大なる将軍様」と涙するパクさんたち。人っ子ひとりいない平壌の様子。そして、デンマーク人たちの意味不明なコメディの上演に集った、観客たち。

監督が「永遠に演技を続けている国民」と言っていたように、北朝鮮の人たちのディストピアな日常を垣間見ることが出来て、それだけでも観た価値のある作品でした。

オアシスの「ワンダーウォール」や、ジョン・レノンの「イマジン」、ビートルズの「愛こそは全て」といった曲の弾き語りは、北朝鮮の人たちに伝わったのかな。

それとパクさん、こんな作品で晒されてて、このあと大丈夫だったのかな、って心配になる。めっちゃデンマーク人たちに騙されて北朝鮮内部を案内してるわけだから……「トゥルーノース」みたいな目にあってないことを祈ります。

ここからは自分語り。

この作品でも北朝鮮側から訪問する、北朝鮮と韓国の国境・板門店。俺も一度ツアーで行ったことある。

ツアーは基本的には外国人向け。ソウル早朝出発のツアーバスに乗って2時間くらいでDMZ(非武装地帯)に到着。

パスポートチェック後、国連の運行するバスに乗り換えて、板門店の手前で降ろされる。

手前の建物で、まずは板門店の歴史を解説したビデオを見せられる。

以前に発生した北朝鮮とのトラブルで命を落とした人たちがいる、といったエピソードが紹介され

「板門店では、北朝鮮を指差したり、笑ったりしてはイケマセン」

と念押しされる。北朝鮮の人たちを刺激するからなんだとか。

そうして板門店に徒歩で向かう。国境の向こうには北朝鮮側の建物が幾つか見え、銃を持った兵士が何人も立っている。板門店はプレハブ小屋みたいな簡素な平屋建て。38度線を示す白線にまたがって建設されている。

板門店の北朝鮮側も韓国側も、兵士が半身だけを出して警備している。半身だけ出すのは、「瞬時に、攻撃にも防御にも対応できる」ためらしい。

板門店の中は、この作品にあるように、ガランとしてて、テーブルがあるだけ。俺が訪問したのは2019年より前だが、2019年にトランプ大統領と金正恩が会談したのもココ。

高い崖の上とかに行くと「もしかしてトチ狂って飛び降りてしまうんじゃないか」って変な妄想に取り憑かれる高所恐怖症の俺。今回も、トチ狂って北朝鮮側に駆け出したら大問題になるんだろうな、と考えたら緊張でブルブル震えてしまい、観光どころじゃなかった。

現在は観光地と化したベルリンの壁のように、いつの日か北朝鮮の人たちがここを自由に行き来できるような未来が来ることを祈ります。

板門店、行く前は中華料理のレストランみたいな場所だと誤解してたのだが、戦争の最前線、ってピリピリ感が痛いほどに伝わってきて、帰りはドッと疲れてしまった。

おかげでその後は、癒やしを求めて韓国エステに……(以下略)。

(おしまい)
北朝鮮を全力でおちょくるドキュメンタリー。障害者を使って北朝鮮の欺瞞を暴こうなんて誰も考えない。エッジが効きまくってました。
sashaice

sashaiceの感想・評価

5.0
韓国系デンマーク人コメディアンの凱旋パフォーマンス!南でやると思ったら北でやっちゃったトンデモドキュメンタリー💥とにかく全てがシニカルでスパイシーで悪魔的!😈字幕付きで完成版のこの作品を見た将軍様の顔が見てみたい🙄この国とヤコブ(先天性脳性麻痺を抱えるコメディアン)の掛け合わせの気まずさといいようのない背徳感がしびれる😳向こうがデンマーク語分からないことをいいことに「異常で薄気味悪い」とかポロっと言っちゃう危機感の無さ笑 それを慌てて「とても感銘を受けたと言っています」と英訳でカバーする監督😂 金日成の銅像を見た瞬間に涙ぐむしらじらしい演技を続ける通訳。。
なんでもプロパガンダに利用するあの国の悪魔的な嘘っぱちの愛国主義、処罰に恐れ慄く国民の実態を世界に露呈しちゃった。「ここでは誰もが犯罪者であり容疑者」とは上手く言ったものだ。二人のパフォーマンス相当酷かったけど、北側の演出の人がめっちゃ口出ししてきて、結局デンマーク要素ゼロ。オリジナルストーリーガン無視の「共に生きよう!共に死のう!」みたいなプロパガンダ満載の薄気味悪い茶番になっちゃって、北朝鮮にとって文化交流とか多文化への理解とか1ミリも意味をなさないものなんだと呆れてしまった、、一番気に障ったのは観客はヤコブが障害者だと知らないから障害者を演じた健常者のふりをしようとさせたこと。彼からセリフを剥奪し、代わりに笛を吹かせた。こんな侮辱は許容できない。いったい彼らはいつの時代を生きてるんだか。現代版ナチスと揶揄されても仕方ない。甚だしい人権侵害と邪悪さを世界が目撃しました。ここだけは本当に笑えなかった。
ヤコブの正直さとナイーブさがめっちゃ好き。間違いなく一番正論を言ってるんだけど、「ここは北朝鮮だぜ??正論なんてない異星人の住む国だぜ?戦時下のナチスドイツに来たようなもんだぜ?」って言いたい監督のモヤモヤと焦りがめっちゃ伝わった😨極め付けは反アメリカの平和式典という全国民、幹部が総出で参加する壮大な式典でみんなが(あくまで嘘で塗り固めた北の歴史認識だが)反アメリカ・平和を願って拳を空へ突き上げる行進があったのだが、一人だけ頑なに拳をあげないヤコブ。監督が「みんなが僕らを見てる。僕らの身の安全のためだ。頼む同じようにやってくれ」と諭すが子供のように絶対信念を曲げないヤコブ。テレビに映る一人だけ不機嫌なヤコブの姿。。さすがにこのシーンはヒヤヒヤしました💦
シリアスな話、障害者を生まれた瞬間に殺すと言われている国。通訳の女性がヤコブのことを「自分の息子以上の存在」と繰り返していたが内心はどうだろうか。正直発言がいちいち薄気味悪かった。これもプロパガンダだろうか。ヤコブがふと漏らした言葉。「一番気持ち悪いのはここの人たちが僕を温かく迎えていることだ。でもみんな内心は軽蔑している。それが分かるから僕は被害妄想してしまうんだ」は私もそういう空気を感じとっていたから切なくなった。とにもかくにも今年一番笑わせてもらいました✨👏シニカルで毒がたっぷりの笑い😈

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