イチロヲ

哀しみのベラドンナのイチロヲのレビュー・感想・評価

哀しみのベラドンナ(1973年製作の映画)
4.0
圧政により没落させられた美女(長山藍子)が、悪魔(仲代達矢)に魂を売ることにより革命の炎を燃やし始める。虫プロ製作・日本ヘラルド映画配給「アニメラマ(アニメーション・ドラマ)」の第4作目。ジュール・ミシュレのフランス文学を原典にしている。

イラストレーター・深井国の耽美な原画と高度なアニメーションの融合によって構成されている、いわば「動くエロティック・アート」。深井国にアニメ技術を教えると作家性が失われてしまうため、何も教えずに作業してもらったらしい。

魔力を手に入れた主人公が、サイケデリック攻撃を仕掛ける場面が出色。多くの性的暗喩が出てくるが、映倫をパスすることができたというミラクル。チンコ型の悪魔を演じることになった仲代達矢が「まさか自分に男根の役が来るとは!」と発奮したという。

静と動の両義性から、長編アニメ作品の本質と可能性を見いだそうとする試み。スタイルをいっさい乱すことなく、90分間の長編映画として完成させた意義はとても大きい。
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