KaraP

コンセントのKaraPのレビュー・感想・評価

コンセント(2002年製作の映画)
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18年ぶりくらいで見返したが、中原俊監督だったというのはスッカリ忘れており、まずそれにビックリした。さすが日活ロマンポルノ出身だけあり、その方面の描写は惜しみない。それにしても市川実和子さんの行為シーンが記憶よりずっと多く「こんなにありましたか…」みたいに思った。しかもそれが普通にストーリー上、必要であるように流れていくから不思議。これも監督ならではかなと。

以前「桜の園(中原俊監督)」に於ける「つみきみほ」さんの存在感について語ったことがあるが(http://karakawa.cocolog-nifty.com/egm/2005/02/sakuranosono.html)
あの映画では「他の出演者より先に進んで」ひとり90年代ぽい存在だったのだが、この映画でも「ひとりだけ90年代ぽさ」を醸し出してるところが興味深い。まあつまり「彼女は彼女のまま変わらない」ということなのだろう。こういう「逢魔ヶ時」40代女性は現在ネット上などにもたくさんいる。その類型を見るようで、それは初見のときには気づかなかった視点だから見返したのはよかったと思う。

内容や映像表現について「稚拙である」という指摘を散見したが、映画というものを「モチーフ」「思考や気づきのきっかけ」として見ている私は、そこまで思わない。ここまでわかりやすく提示してくれれば、あとは自分の問題であって、映画の中に「100」全てを求めてない。実際、この映画を見ながらいろんなことを考え、自分自身になぞらえ、自分の中の想像力や思考が纏まっていった。初見の時を思い出し「そうだった!」などと「ヒント」や「気づき」をたくさん反芻できた。そういう意味ではよい映画だった。また、当時は新鮮だった表現や出演俳優で「現在は普通に見られる」ものがいくつかあり「2000年代の始まり」感を改めて噛み締めつつ楽しんだ。
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