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エネミー・マインのmhのレビュー・感想・評価

エネミー・マイン(2011年製作の映画)
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地雷撤去作業をしている部隊のもとに悪魔(謎おじ)がやってきた。
B級戦争映画のパッケージで販売されてるけど、中身はワンシチュエーションムービーの傑作。
デイトン合意(ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の終結)から一週間後の、スルプスカ共和国軍のいち部隊が題材。
日常生活を取り戻すべくいつ果てるとこない地雷撤去作業をしていると、廃墟に閉じ込められていたおじさんが連れてこられる。
飲まず食わずで生きているという不気味なおじさんを前に、仲間割れがはじまる。
このあたりからだんだん、サイコサスペンスの様相を呈してくる。
拠点にしていた家の持ち主である女性も戻ってきた。本部とは連絡がつかずストレスが高じてくると、仲間内の精神状態もおかしくなってついに殺し合いがはじまる。
この様子がボスニアヘルツェゴビナ紛争を端的に物語っているというすげーうまいシナリオ。
スルプスカ共和国軍は虐殺と遺体処理を行ったほう(「アイダよ、何処へ?(2020)」で収容所を支配していたほう)で、そのあたりもラストになって話に関わってくる。(罪を隠ぺいしようとしているひとがいた)
「お前が神だったら、彼女をよみがえらせろ!」のあと「大丈夫、弾がかすっただけ」と、すでに立ち上がっているテンポが素晴らしい。アジアンエンタメでよくやる周りをぐるぐる回っているカメラでそのくだりをやってるのがまじすごい。
悪魔についてのネタ晴らしがないのもよかった。
踏んでしまった地雷からの逃げ方は初めてみるものだった。(すれ違ったら飛べ→すれ違うふたりが踏んだ人間を地面に伏せさせる)IMDBのグーフにも指摘がない。ほんとにあんなことで助かるのかな?
B級戦争映画でおなじみの彩プロは、有象無象のB級戦争映画の中にこういう傑作を紛れ込ませるのほんとにやめてほしい。
これはめちゃくちゃ面白かった。
mh

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