Toineの感想文

六月の蛇のToineの感想文のレビュー・感想・評価

六月の蛇(2002年製作の映画)
3.8
【僕の命を救ってくれた神聖な貴女へ贈る湿度高めのストーカー劇場】
塚本晋也監督の作品だなんて観ないわけには行きませんという勝手な義務感で鑑賞いたしました。
aikoさんいつも素敵な作品のご紹介をありがとうございます♡♡

青いフィルターのかかった白黒映画。
ガッチガチにキマった映像美も流石です。
キャストの田口トモロヲさんも地味に好きなので拝見できて嬉しー。
てかストーカーを塚本監督ご自身が演じておられて笑った😂

いのちの電話で救った謎のストーカーからの電話に怯える主人公りん子さん。
「警察に言います。」
「嗚呼、どうぞ。一緒に地獄へ行きましょう。」
ストーカーのお返事が完璧。
わたくしの中二心がくすぐられました。

私のような人にあまり興味の無い人間からしたら浮気するような半端な気持ちでアプローチしてくる人物よりストーカーの執着や歪んだ健気さの方が何倍も好感が持てます。
だって相手の気持ちや法律を無視してそこまで誰か1人に自分自身の貴重な時間を魂を捧げるって並大抵の覚悟ではないから。
愛なのか独占欲なのか分からないし大抵が一方的な想いの押し付けでしょうけど。
そこに私がこの世で1番嫌悪する"裏切り"という概念は存在しないわけで。
倫理観の向こう側でそこまで狂い咲ける情熱はシンプルに凄いと思うのです。
(個人の意見です)

後半からラストにかけての「鉄男(1989)」を感じる金属を活用した前衛演出も安定に良かったです。
最後まで鑑賞してりん子さんは本当に心優しい方だなとほっこりしました♡
女神様じゃん。
対してりん子さんのおハゲの旦那が嫌な奴だし情けなくて吹いた。
エロスと暴力ですべてを解決に導いたストーカーGJ過ぎると思いました。
ストーカーするだけあって旦那よりもりん子さんのこと解ってるし。
やっぱりストーカーは信頼に値するなと思いました。