らんらん

ホドロフスキーのDUNEのらんらんのレビュー・感想・評価

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)
5.0
1975年に企画され、幻となったホドロフスキー版『DUNE』を巡るドキュメンタリー。

結局ホドロフスキーが作り上げたものは、何だったんだろうか。

手元に残ったのは、厚さ15cmはあろうかという分厚い一冊の本。

メビウス、クリス・フォス、H・R・ギーガー、ダン・オバノンによる緻密で創造力に溢れたイメージ画や絵コンテが、本を飛び出して躍動する。そんな演出も楽しい。
ホドロフスキーの内部で完成していたこのホドロフスキー版DUNEが、今でも生き生きと物語を紡ぎ、世界に語りかけていることを知ることが出来る。

ホドロフスキーは冒頭で、私は「予言書」を作ったと言う。
この映画の為に集められた選りすぐりの才能が、その後チームで個人で映画史に残る素晴らしい仕事をしたことを指しているのかもしれないが、もしかしたらそれ以上の力を、この本は秘めているのかもしれない。実現しなかったことは、果たして失敗なのか。

12時間という大サーガには、ダリやオーソン・ウェルズ、ミック・ジャガーが出演する。音楽はピンク・フロイド。

当時のホドロフスキーの創造のエネルギーが、あらゆる可能性と喜びと愛と少しの叡智を呼び寄せ、分厚いこの本に閉じ込めた。魔法の本の完成である。そう思わない?
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