タキ

ゲッタウェイのタキのレビュー・感想・評価

ゲッタウェイ(1972年製作の映画)
3.8
ペキンパーといえばバイオレンスの思い込みで見てたらゴリゴリの男らしさよりちょっとユルめでちょいちょい笑っちゃうようなハズシがあって、しかも意外や意外の幸せオーラ全開のハッピーエンドだった(不穏な空気感がないという意味で)
4年のムショ暮らしにいよいよ耐えられなくて妻に自分をベニヨンに売ってここから出してくれと泣きついたり、満足できるセックスができるかわからないとしょんぼりしたり、妻がベニヨンと寝たことをグチグチと責めて別れをチラつかせたり、男臭さムンムンでおなじみのスティーブ・マックイーンが虚勢を張ってはいるものの自信喪失した情けない男、ドクを演じている(これも意外すぎ)
一方、妻はなかなかキモの座った女でオンナを武器に夫をムショから出し、私がよくしてあげるから大丈夫と夫の萎えに元気を与え、ベニヨンのことをグチグチ責め続ける夫に(ベニヨンではなく)アナタを選んだのに!と言い放つ。実はこの夫婦、主導権を握っているのはいつも妻キャロルなのだ(そういえば車のハンドルを握っているのもほとんどキャロルだった)
このゴミ収集車から転がり落ちても絵になるカップルは実生活でも結婚したというオチがついていて(のちに離婚)バカップルに拍車をかけて楽しい。ルディと獣医師の妻カップルが超絶キモくて(キモすぎて見たくないのに見ちゃうヤツ)ドク、キャロル組の美しさをさらに底上げしてくる。ビッチの対比がエグイw
もちろんスティーブ・マックイーンのかっこよさの美学も健在で、野生の勘でコインロッカーのカギすり替え男を見つけ出しボコボコにするわ、ホテル襲撃にもいち早く気づいてカッコよく撃退するし、なんと言っても黒スーツにショットガンのスタイリングは「らしさ」全開。いつものマックイーンも楽しめる。
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