三樹夫

突破口!の三樹夫のレビュー・感想・評価

突破口!(1973年製作の映画)
3.8
銀行強盗で盗んだ金がマフィアの金だった。警察からもマフィアからも追われる身となる70年代作品らしい激シブな犯罪映画。監督はドン・シーゲル、主演はTHEおっさんという顔のウォルター・マッソー。
オープニングはゆったりしておりうららかな田舎の風景が映し出される。おそらく何の事件も起こらないような平和な田舎なのだろう。主人公の銀行強盗グループは小さな銀行を襲いチマチマした金を強奪しているが、あの車のナンバーって確か盗難車リストにあったようなと保安官が気付き、銀行の中でも外でもハードな撃ち合いになる。ここでオープニングのゆったりした牧歌的な雰囲気から一変し骨太なアクションが始まる。登場人物の全員が超アグレッシブで、保安官側にも銀行強盗側にも死人が出る。
銀行強盗側はウォルター・マッソーと『ダーティハリー』のさそりの、おっさんとイキった若者のコンビが逃げのびるが、盗んだ金の量があの小さな銀行にしては多すぎる、これはマフィアの金だとなり、マフィア側はいとも簡単にポンポン人を殺す殺し屋を差し向けてくる。

銀行強盗で生き残ったのは思慮深いプロのおっさんとイキった未熟な若者というので、これは若者のせいでピンチに陥るなとか思ってたら、見捨てる気マンマンじゃねぇかというぐらいおっさんが思いの外かなりハードボイルドだった。マフィア、殺し屋、ガンスミス、パスポートの偽造屋と、犯罪映画でくぅ~たまんねぇぜという要素が大量にぶち込まれている。出てくるキャラがみんなプロで、パスポートの偽造屋がやたら肝が据わっておりプロ感が凄い。
ウォルター・マッソーが無事追撃をかわして逃げ切れるのかという映画だが、ぬかりのないプロに見えてわりかしやらかしている。このジジイ絶対マフィアに情報売るだろうと思ったら案の定だよ。そこの所をハードボイルドで切り抜けるというか、結構鬼畜なおっさんであった。
三樹夫

三樹夫