カタパルトスープレックス

御用牙 かみそり半蔵地獄責めのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

3.9
勝新太郎のアナーキー捕物帳の第二弾はなんと天才増村保造監督です。勝新とは『兵隊やくざ』(1965年)でタッグを組んだこともありますし、個人の正義で世間の道理を蹴っ飛ばす「かみそり半蔵」のキャラクターは増村保造っぽい。

増村保造と勝新太郎は相性がいいのか、前作に比べるとアナーキーさはそのままで捕物帳としてもしっかりした作りとなっています。しかも、監督が替わっても、前作の設定がきちんと引き継がれている(女性を網で吊るして拷問セッ○スとか!)。まあ、そこは勝新のコダワリなのかもしれませんが。

まあ、前作の三隅監督も変態ですが、増村保造監督も相当な変態なんですよ。そもそも『兵隊やくざ』だってBLですからね!谷崎潤一郎『卍』(1964年)や『痴人の愛』(1967年)も映画化してるし。『でんきくらげ』(1970年)の由美(渥美マリ)だって自分の肉体を武器にしてのし上がる。男女の違いはあれど「かみそり半蔵」と近い感覚の持ち主だと思います。

内容的に前半は前作を踏襲しています。普通の探偵は知力を武器に事件を解決しますが、かみそり半蔵の武器は性力です。巨大なイチモツを日々鍛錬し、いざというときに下手人の女性に突き立てる。ひでえ😂!やめて!やめて!やめないでっっっ!という感じで半蔵にメロメロになってしまいます。

しかし、後半は意外とちゃんと捕物帳をやっています。前半でちゃんと駒を揃えて大立ち回りの殺陣を経て事件解決。え?ちゃんとしてる!さすが増村保造!前作では変なタイミングでソフトジャズが流れてきてズッコケてしまいましたが、今回は音楽もちゃんとマッチしている。その分、狂気は減ってしまったような気がしないでもないですけどね。

本作は増村保造監督のキャリアの中では転換時期だったと思うんですよ。映画から徐々にテレビに軸足を移しつつあった頃。山口百恵の「赤いシリーズ」を手掛ける直前ですよね。本作も増村保造監督作品というより、勝新太郎主演作品としての方が色濃い。増村保造は(主張すべきは主張しつつ)職業監督に徹している感じはあります。

キレイにまとまってるけど、狂気が足りないって感じになってしまうのかなあ。りょーこさん案件なのに😹