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イチジクコバチのimaponのレビュー・感想・評価

イチジクコバチ(2010年製作の映画)
3.5
「追想から未来へ~水井真希さんが残したもの」にて
絵本「イチジクコバチ ピッピの冒険」をモチーフにしているが、絵本はこの作品のために創作された物。イチジクコバチとはイチジクの実の中に居る虫のこと。雄(男の子)は目も手も羽もない。実の中で一生を終えるから必要がないのだ。雄の役目は雌(女の子)を外の世界に放ってあげる事。
主人公はJKと思ってたが上映後監督の話からJC設定と聞いた。
そう思って反芻するとまた違う感慨がある。なにしろ未成年売春に、近親相姦だからね。
最終的には見立て殺人にまで発展。内容の割にはグロさは殆ど感じないから苦手な人でも大丈夫と思う。「JCがあんな小さなナイフで良く仕事できたな」とか言ってはいけない。絵本ファンタジーですから。
父親の伊藤猛の狂気は台詞が聞き取りにくいほどだが狂気の裏に悲哀がある。

父娘で一つ鍋のうどんをすするシーンが良い。
カプセルホテルで斡旋少年と添い寝するシーンが良い。

水井真希さんは詳しく存じ上げない方だったが、惜しい女優を亡くしたものだ。演技への向き合いも良かったそうだし、切通理作氏の初対面EPからうかがえる気概もちょっと怖いけど迫力あって良いと思う。なにしろタラコ唇が可愛い。
実から外へ出られた女の子だったが、外の世界は「生き辛い」と言いパタパタ羽ばたいて去って行く。
その後の短い一生を思うとせつない気持ちになる。

少女拉致事件を題材にした「ら」を監督したり、性被害の告発をしていたそうだ。
水井真希享年32歳。死因は公表無し。合掌。
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