あーや

オデッセイのあーやのレビュー・感想・評価

オデッセイ(2015年製作の映画)
4.9
事故により火星に取り残された宇宙飛行士が、科学の知識を駆使して地球へと帰還するまでを描いた物語。
教養という観点において非常に得られるものの多い作品で、子供に視聴させるのにもうってつけのストーリー。

とにかく、科学というものに対して全幅の信頼と尊敬が込められた作品だという印象を持った。作中では植物学・化学・物理学・宇宙工学・情報科学など、様々な分野の科学技術が登場する。

科学に関連した描写はNASAによる全面的な科学考証(≠SF考証)を得た極めて真に迫ったものであり、そうでない部分についても、それが間違いであるということを念頭に置いた上で、物語の構成のためにわざと切り捨てたということらしい。

SF映画にありがちな、あからさまなオカルトは含まれていないので、よほど宇宙に詳しくない限り、現実に同じことが起こったらこの映画のようになるのだろうなという感覚を伴うことのできる作品だと思う。

宇宙をテーマに扱っているからか、オペレーションに中国が協力するなどグローバリゼーションの雰囲気に富んだ描写があるのが面白い。残念ながら今だとほとんど願望に近い描写に見えてしまうけど・・・。
優秀な科学者枠は中華系や黒人が担当するなど、恐らく米研究機関の現状に即しているのであろう多様性もきちんと描けている。

また、例のごとくと言うべきか、海外では大絶賛され極めて高く評価されている一方で、日本からの評価だけ妙に低い作品の一つ。たぶん科学ネタはSTEM教育の不十分な日本だとウケないのだろう。
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