蓼食う虫

とうもろこしの島の蓼食う虫のネタバレレビュー・内容・結末

とうもろこしの島(2014年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

『みかんの丘』に続き、アマプラに「見放題終わるよ〜」と脅されて見るパターン。
どちらも"農作業してたら負傷兵を匿うことになった系"
(単なる"負傷兵匿い系"なら結構ありそう。『ミツバチのささやき』とか)

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🍊の予告編をググったら本作のとくっ付いてた。岩波ホールで同時上映されてたとのこと。何という贅沢な二本立て!

https://youtube.com/watch?v=_fp04US7Cn4

Wikiによると、"エキプ・ド・シネマ"というマイナー作品を上映する方針により、敢えて発掘されたから良作が多かったんやな(「下リンクの「代表的な上映作品」欄を参照。GoogleMapのレビュー欄にアップされている写真に、壁に貼った歴代上映作品のポスターがあったが、知ってるのは良作ばっかり。どっかでリスト化されてないかな? 『木靴の樹』もあった)。

そんな稀有なホールがコロナ不況の余波で今年7月をもって閉館とは、勿体なさすぎる。どこぞの企業がメセナ(死語)でサポートしてくれんもんか…。それとも今はいきなりサブスク&オンライン公開の時代なのか?

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/岩波ホール
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🍊はかなりよかったが、🌽もまた別のよさがあった。

冒頭の説明文で表示されるグルジア文字フォントがメチャカワイイ!
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/グルジア文字

すぐ思い出したのは『裸の島』。
(あんな無言劇、よくBSで流せてたよな〜)
あとジョージア版『木靴の樹』かいな、とも。

カメラの構図やアングルとかは全然知らんけど、
本作では私でもセンスのよさを感じ取れた。

島で用を足すときは丸見えやな〜と余計な心配w
薬莢? 何を拾ったのかわからないが、この島を耕しにやってくる農民は、往々にして前の人が残したものを地中から見つけるということか。ラストでも。

爺ちゃんは寡黙でパワフルだが、孫娘を見る時は目を細めて静かに喜んでいる様子。

娘はパリコレのモデルにいそうなソバカスだらけの美少女。服の着こなしが毎回よかった(紫のスカーフとか)。まだぬいぐるみを持ち歩いているのは、親に先立たれた寂しさを紛らすためか。

生理の場面、当たり前のことなのに、映画では初めて見た。戦闘中で周りに女性がいないためだろう、下っ端の兵士たちは相手が子供なのに川越しにナンパしようとする。小屋に入って自身の身体の成長を確認する娘。戦場と性の問題に婉曲に触れるとしても、必要以上に脱衣シーンが多いのは子供だけに少々不快に感じた。爺さんの水浴びシーンが絵にならないのはわかるがw ジャケット写真も🍊とは異なり、少女が大写し。客ウケ狙いか。

また、両親に先立たれたショックで普段は無表情で寡黙なのね…と思いきや、負傷兵にいきなり「あなた素敵ね」と話しかけるのも、やや唐突で不自然に感じた。急にふざけ出したのも、年の近い人間が来たからとはいえ、若干はしゃぎ過ぎのような。相手は敵兵なのだから普通もっと警戒するのでは?

長靴に入った水を捨てるとか鍬に当たった畑の中の石を川に投げ込むとか、農作業あるあるで共感。色々耐えている辛さが限界に達して、いつか泣き出すんちゃうかな〜と思ってたら、やっぱり。それにしても、どのシーンも映像が美しかった。

ラストでは、東日本大地震の津波や西日本豪雨での水の恐ろしさを思い出した。でも、あれだけ万事に手慣れた爺さんが、舟にも乗らずあっけなく小屋の下敷きになって流され死んでしまう? あとで泳いで戻ったとかはなさそうやけど。負傷兵も状況的には理解できるが、唐突に跡形もなく去りやや肩透かし。ひっそり島を去るシーンくらい欲しかった。

エンドロールに人工島ってあったので、あれ作ったのか!とビックリ。編集のメインとサブには韓国人らしきお名前が。翻訳にも韓国語が入っていた。こんな作品に関われたの、羨ましい〜^^

今こそプーチンに見せたい映画No.3
蓼食う虫

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