藍色

ミス・シェパードをお手本にの藍色のレビュー・感想・評価

3.5
登場人物たちのセリフの随所にイギリスらしい皮肉が効いてて良かった。

「優しさはあらゆる徳の中でもっとも自分本位なものだ。そして十中八九、怠惰な性格に過ぎない」
ーーーーウイリアム・ハズリット

親切にしてあげるたびにしめ殺したくなる、ってアランに思われるくらいムカつく返しをするシェパードさん、いいキャラしてる。

シェパードさん役の女優はマクゴナガル先生役の人だから、同じ人でもここまで変わるなんて女優って、映画ってすごいと思った。

15年もシェパードさんを庭に住ませてあげてたの信じられないな。

どんな人にも、たとえホームレスのような暮らしをしている人にも、人生がありドラマがある、って感じの映画だった。

アランの、作家としての自分と生活をしている自分が分裂して2人になってる表現が面白い。

時々、登場人物のセリフに対して「実際はこんなこと言ってないけどね」って弁解が入るのもメタくて面白い。

こういう、現状と地続きでありつつも、作者の内面世界から描いた物語でありある種のファンタジー性がある物語だよ、って出し方をされるから、見知らぬ半ホームレス女性の介護、みたいな重いテーマでもしんどくなりすぎずに見れた。

でも、シェパードさんの起こした事故を見てた警官が、本当はシェパードさんの過失じゃないと知りつつも、それをネタに長期間ゆすり続けてたのはシンプルに最低だよ…。

明確には描かれてないけど、アランはゲイなのかな?最後に同棲することになった人がちょっと出てきた感じとかみるに。なら社会のはみ出し者としてフィッシャーさんに共感するところがちょっとあったのかもと思ったり。

邦題の訳し方のセンスが合わない。The lady in the vanを直訳して「バンの中のご婦人」とかでもよかったんじゃないか。ミス・シェパードの「お手本に」な要素はどこに?謎。
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