けーはち

ガールズ・ステップのけーはちのネタバレレビュー・内容・結末

ガールズ・ステップ(2015年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

スクリーンでバキバキに踊りまくるJKを観に来たがそれほどではなかった(チア部の方が余程バキバキに動いていた)。題材がダンスなのは劇中でも触れられていた通りダンス必修化の影響で、基本的には王道青春友情モノだ。

全国レベルのイケてるチア部に見下されジミーズ(地味)の烙印を押されたスクール・カースト最下位娘たちが、欠席した体育の単位補填のためにダンスを始め、大会出場を通じて認められる存在になっていく成り上がり劇として楽しんで観られた。

ジミーズの構成員は、チア部のパシリ(主人公)、時代遅れのヤンキー、ガリ勉、根暗、セレブ気取りの勘違い女──ひどくバラバラのメンツだ。

話のエンジン役としてヤンキーちゃんが感情を暴走させることが多いのだが、その実、他のメンツは自分のことで一杯一杯なので人間観察眼はヤンキーちゃんが最も長けているというのが面白い。

部として活動が本格化するにつれ、体育館を割譲され不満の募るチア部が主人公に圧力をかけてくる。いじめられた経験のある主人公は耐えられず部の仲間を差し置いてチア部に媚を売る。そこから対立が生じ、部活は一時解散に至るも、根暗ちゃんの妊娠騒ぎ(!)を契機に本音を吐き出し纏まる流れは面白い。根暗ちゃんの話を聞いて殴りこみに行くヤンキーちゃんのくだりはおよそ想像通りだがケレン味もあって惹き込まれた(実は根暗ちゃんが髪を上げると一番可愛いのもポイント高い)。

それからは主人公がチア部のパシリをきっぱりと断り、ダンス大会に向けて専心する姿を見て、チア部部長も段々協力的に。カースト上位者が、ジミーズの努力を認めてくれる、個人的には一番涙腺に刺さってくる部分だ。

体育教師の紹介でダンス講師に招聘されたチャラ男が、「実はNYで活躍した世界的ダンサー」「1位に拘りすぎ仲間を失い、夢も諦めた」という設定も良い。ガリ勉ちゃんが「才能のない私だって頑張ればこの位は出来た。才能のある貴方が諦めてどうする!」という旨のハッパをかけて、講師がふたたび夢を追いかけてNYに旅立つという流れもまた胸に来る。年季の入ったプロが、名も無きJKの熱気に当てられる。青春映画を観に来る大人たちは、きっと、そんな心境を求めて来ているだろうから…。

総じてスクール・カーストものとして「あるある」なのに、監督の手腕によるものか、上手く見せてくれたなという感じだった。鎌倉の風景も美しく写し出されていて良かった。