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怒りのmulのネタバレレビュー・内容・結末

怒り(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

終始重かった。ずっと重たい空気が張り詰めるような感覚で観ていた。

八王子事件の犯人が一体誰なのか、千葉、東京、沖縄という3つの土地で犯人に似たような男性3人の周囲の人間たちの状況が興味深かった。
どことなく3人に見える絶妙な似顔絵が凄いなと切実に思ってしまった。

森山未來さん演じる田中が終始何を考えているのか分からないキャラクターで突然怒りで狂う様子が本当に恐ろしかった。

直人を信じることができなかった罪悪感で優馬が泣いてしまうシーンは辛かった。妻夫木聡さんの演技には圧倒されてしまった…
それにしても直人を演じた剛さんがすごく細身でびっくりしてしまった…聞いてはいたけどここまで細いとは…
映画を観ている間は直人を演じる剛さんではなく、直人という人間として観ていた。それぐらい直人として映画の中で生きていた。

人を100%信じることは不可能であると個人的に思う。相手が裏切るような行為をしても、それはその人の一面にすぎず、自分が相手に過度な期待をしすぎたのだと。相手の裏切り行為に理解または許容できる/できないかは置いといて、この人の一面に過ぎなかったのだと思うことが1番心に負担がない気がした。でもこれは簡単ではなくて、どうしても相手を信じたい気持ちが優先してしまうのが人間かなと思ったり。
だからこそ優馬が直人を疑ってしまう気持ちも分かるし、信じることができなかったことへの後悔に苛まれる彼の心情も分かる気がする。

それにしても「影裏」の今野さんといい、「怒り」での直人といい剛さんが演じるゲイ役はどうしてこんなにも報われないの…そろそろ幸せになって…
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