カネコ

アリスのままでのカネコのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.4
若年性アルツハイマー症を発症したある女性のストーリー。

言語学者のアリスは大学で教鞭を執りながら3人の子育てを終え、夫と充実した毎日を送っている。独立した子供たちの中で1番の心配は売れない俳優志望の次女のこと。
ジュリアンムーア50歳の役だったけどめちゃくちゃ綺麗。
病気が進行する前は知的でエレガントなファッション。ソフトフォーカスで綺麗に撮ってるのが意地悪。

家族性のアルツハイマーというのがあって50%の確率で子供に遺伝し、子供が陽性だと100%発症するのは知らなかった。
アリスも親が早くに亡くなったから知らなかったんだろう。

子供に遺伝性のアルツハイマー症だと伝えて子供たちがそれぞれどう対応するかが興味深かった。
ケイトボスワース演じる長女は陽性。不妊治療中だったけど子供を産む事を選択する。
クリステンスチュアート演じる次女は検査をしなかった。
どちらの選択もかなり勇気がいる事で自分だったらどうするだろうかと考えてしまった。

アリスは言語学者で言葉について誰よりも研究してきたのにその言葉が出てこなくなるやるせなさと不安は相当なものだろう。アリスの記憶が欠落している様子を彼女の周りをボヤかして表現していて不安感が伝わった。

進行してしまう前にやりたい事をと思ってもなかなか難しい。

自殺を指南するビデオレターも自分の尊厳を守る為と家族に迷惑をかけたく無い思いから。結局自殺さえ1人では出来ない程に進行してしまうのを観ていて悲しくなった。

スピーチのシーンは感動的だったけどそこで終わるのではなくアリスの闘いは続くわけで。それは家族にとってどんどん負担が大きくなっていく事。

アリスは夫と長期休暇を取って一緒に過ごしたかったけど夫の都合で結局は叶わず。
そして夫は単身赴任を選択する。
“何があっても僕がついてる”と言っていた夫が結局はアリスに寄り添う事を辞めてしまった。彼の愛したアリスはもう居なくなってしまったと感じたから?

アリスの介護も長男長女は忙しさを理由に逃げて次女が担うことに。
次女も元気な頃のアリスに自分の夢を語っていたのに俳優として芽が出なさそうだから介護を理由に逃げたようにも感じてしまった。

アリスが最後に愛という言葉を口にしていたけどとても空虚に聞こえた。
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