ペイン

EDEN/エデンのペインのレビュー・感想・評価

EDEN/エデン(2014年製作の映画)
4.5
あのオリヴィエ・アサイヤスの元妻で、ELLE誌による“フランスを動かす50人の若者"の一人にもかつて選ばれたミア・ハンセン=ラブ監督作品。

物凄くしっとりダウナー系のDJ版『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とでもいうべく傑作。DJとしてのし上がり、女をとっかえひっかえし、酒とドラッグに溺れ転落していく主人公のDJ。

ダフト・パンク、デヴィッド・ゲッタら1990年代に台頭した“フレンチエレクトロ”(ガラージュとも呼ばれる)の黎明期から約20年間を描き出す本作は、つまり“ダフト・パンクになれなかった男”の物語である。

主人公のポールは、約20年間DJとして活躍し、現在は作家として本作の脚本にも参加しているミア監督の8歳年上の実兄スヴェン・ハンセン=ラヴをモデルにしている。それ故にやはり脚本のリアルさ、1つ1つの描写の丁寧さは折り紙付き。

私が今まで観てきた映画の“クラブ描写”の中でも抜きん出て素晴らしいイカした描写のつるべ打ちで、この一点だけにおいても本作を評価せざるを得ない(ダメ邦画は見習うべき)。また、青春群像劇としても巧みで、どこかアルトマンイズムすらも感じた。

また、主人公がとっかえひっかえする恋人の一人には今をときめくグレタ・ガーウィグが。優秀な女性監督同士、ミアとも交流が深いのだろう。

終盤、作家になるための講座?に通いだした主人公が、そこでまた出会った女性に“私、エロクトロはダフト・パンクくらいしか知らないわ“と言われていて、心がイテテテぇとなりましたね>д<。詩にもグッときた。
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