のんchan

呼吸 友情と破壊ののんchanのレビュー・感想・評価

呼吸 友情と破壊(2014年製作の映画)
4.1
メラニー・ロラン監督作品💫

ロラン監督は同世代の女流作家アンヌ=ソフィー・ブラスムが16歳で発表した同名ベストセラーを17歳で読んで衝撃を受けていた。
その時の感性のまま仕上げたかのような鮮度があった。
10代の女子高生2人の関係性を丁寧な描写で織りなしている。


両親は若くして結婚し、母親が18歳でシャルリ(ジョセフィーヌ・ジャピ)を生んだ。父親の浮気癖で両親は喧嘩が絶えず離婚寸前。
そんな環境下でもシャルリは穏やかで優しく成績も良く品行方正なタイプ。好きな子もいるけど反面教師もあり恋にも控えめ。

そこへ躍動的で生命力を感じ人懐こさのある魅力たっぷりに見えるサラ(ルー・ドゥ・ラージュ)が転校生として現れる。サラは母親が一線の仕事でアフリカにいて一人で叔母の家で暮らし始めたとしているが...

2人は全く真逆のタイプだからこそ急激に親しくなっていく。

しかし、フランスの高校生のなんとまぁ大人びてることやら。
酒は飲むタバコは吸うの日常茶飯事は親も黙認している。
直ぐにパーティーを開き洒を煽って踊りまくり青春を謳歌する。

サラの自由奔放さに惑わされながらも、シャルリはサラの強い熱情を感じ友達以上の意識が芽生え始めていくが、ある些細なキッカケでサラの態度が豹変していく...

爽やかな青春ドラマから不安感や緊張感を掻き立てる心理サスペンスドラマへと変化する。

女子高生特有の人間関係を的確に表現していて、嫉妬、独占欲、連帯意識、ファッション等の流行の敏感さと女子なら誰でも理解出来る要素が詰まっている。

2人の女優競演とも言える。10年前制作だが、この時からキラキラに光って実力を顕示している。
前半はルー・ドゥ・ラージュ(主演の1人なのにFilmaにキャスト名ないのはどうしたことか?)のまるで地なのかという自然な演技力に驚かされるが、ラストへ行くに従い主役ジョセフィーヌ・ジャピの持つ繊細でいて爆発力を感じる演技も圧巻でした。
名実共に名の上がる女優になっていくだろう前段の2人の演技に目が離せません。

メラニー・ロランの目の付け所、若者たちの危うい存在をスリリングなタッチで醸した筆致が素晴らしい。
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