津軽系こけし

ピートと秘密の友達の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

ピートと秘密の友達(2016年製作の映画)
3.9
今日は気楽にディズニー映画でも観るかと思ったら超深い映画に出会ってしまった。

この映画を「ありがち」だとか言う人がいるが私は心底そういう人たちに反発したい。

この映画はありがちな感動系映画でもなければ中身のない友情物語でもなく、深いテーマを孕んだ哲学映画であると思う。

冒頭でロバートレッドフィールドが「大事な物は見えない」という台詞を発する。これはエリオットの透明化能力を予感させる台詞であるように思えるが私は違う風にその台詞を捉えた
そもそもエリオットとは何者なのだろうか、ストーリー的にはピートの唯一の友達であるドラゴンという解釈が正しい。しかしテーマ的な意味合いで言えばエリオットは" 愛情 "という概念の寓意的存在であるように私は思えた。

この物語には様々な愛の姿が描かれる、家族愛、兄弟愛、親子愛、友人愛。人生において大事なこの" 愛情 "という概念はエリオットと同じく目には見えない、しかしピートは見えないエリオットの姿を捉えることができる、それは彼がエリオットという" 愛情 "を認識しているからである。
愛情とは目には見えずともピートの様に認識しようとすればいつでもその美しさに触れることができるし、会いに行ける。認識しようとしない者はいつまで経ってもそれに出会うことはできない、あの弟さんみたいに^ ^

ロバートレッドフィールドの言う「大事なもの」とは愛情のこと。
しかし見えないだけで愛情はすぐ近くにあり、" 触れる "ことができる。

愛情を認識しその美しさに触れたピートの最後の表情に曇りはない。そのあまりの美しさに私は心奪われてしまった。
どうせディズニーのありがち友情モノだろうと遠ざけている人は是非ともこの作品が伝えるテーマについて今一度考えてみてほしい。
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