あかっか

ロブスターのあかっかのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.0
2024_015

『恋は盲目』で『禁じられた遊び』なのか?


ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』予習3本目。いや~変!すごく変!冒頭から余白だらけで結末まで『ご想像にお任せします』。はっきり言います、大好物!意味わからないで終わらせてしまうにはあまりにも勿体ない、ジャンル分け困難な作品。オススメです!

以下、ネタバレあります。

冒頭のシーン、初見は謎でしかない。車で駆けつけて無言のまま牛を撃ち殺す女。意味不明な行動に見えるが、話が進んでいくと『きっとそこにあったであろう物語』が見えてくる。なんて作りなの!?

独身が認められず強制的にホテルに収容され一定期間内にパートナーを見つけなければ自分のなりたい動物に変えられてしまうという超ヘンテコな設定。主人公は妻に逃げられ、犬に変えられてしまった兄を連れてホテルに収容されたデビッド。果たして彼はパートナーを見つけて無事社会に戻ることができるのか。というのがあらすじ。

つまり冒頭のシーンの牛は、銃を放った女と何かしらの関係性があり、そして牛に変えられていたが殺されてしまった。そこにきっと物語があったはずだが、それについては一切語らない。メチャクチャだ!笑

終始このような人を食った不条理ギャグな展開が続く。ブラックコメディのようでありホラーであり、しかし一転して恋愛映画でもある。

ホテルから逃げ出したデビッドが行き着いた森には独身族のコミュニティがあり、こちらは恋愛が一切禁止。しかしここでデビッドは運命の人と出会って恋に落ちてしまう。人生とは皮肉なものだ。

ここからの展開が更に狂っていて、もはや全体が狂ってしまっている世界に見えてくる。その中で純粋な愛を育んでいくのかと思いきや・・・。

ここからは推測。デビッドは運命の人(近視の女)と出会ったていになっているが、そもそもデビッドという人物が信用ならない。平気で嘘をつくし、裏切るし、芝居が上手い。序盤からのモノローグは近視の女のものだ。デビッドの本心は見えてこない。

そして問題のラスト。独身族のリーダー(レア・セドゥがやっぱり最高!)の手によって視力を奪われた近視の女と街へ逃亡するデビッド。パートナーとなるには深い共通点が必要となる社会において、自らの目を潰すという選択をしナイフを持ってトイレに向かうデビッド。レストランのテーブルでデビッドの帰りを待つ近視の女。そこで映画は終わる。

絶対に逃げるじゃん・・・こいつ。

目ん玉潰すならフォークだろ!(いや、そこはナイフでもいいかもだけど)、もし本作を監督がハッピーエンドにするのなら、眼球にナイフを刺す瞬間で終わっていると思う。そうしなかったことに監督の意地の悪さが滲み出ている。もしかしたら性格が悪いのは自分の方かも知れないけど。

気になったのはリーダーの両親がギターでつま弾く『禁じられた遊び』。楽曲は超有名だけれど映画は未見だったので調べてみた。なるほど、本作にぴったりだ。(馬に蹴られて死んだ兄、犬、墓など)これはこちらも観ないとな案件になってきた。

ということで、いよいよ『哀れなるものたち』を鑑賞する準備が整いました!
あかっか

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