鰹よろし

ザ・リディーマーの鰹よろしのレビュー・感想・評価

ザ・リディーマー(2014年製作の映画)
3.0
 かつて救世主と呼ばれた伝説の殺し屋パルドは、とある事件をきっかけに裏社会から遠ざかり放浪の旅へ。

 行く先々で彼は神に救い(復讐)を求める者たちの声に耳を傾け、悪人たちを勝手に断罪して周っているのだった。

 そんなある日ある街でいつものようにとある男に手を差し伸べたところ個人間の問題では収まらず巨大(でもないか)麻薬組織絡みでちょっと厄介なことに。

 さらには彼が行く先々で助けた者たちを探し出し殺して周ってきた因縁の相手サソリなる者も現れて...

 一見正義に思える彼ではあるが、毎度の選択や裁き(私刑)を執行する前に十字架の眼前でこめかみロシアンルーレットを行うことで自身の正当性を神に問うており、迷いを感じている様が見て取れる。

 しかし、彼の自らの選択を生すらも神に委ねるこの行為は、見方を変えれば思考の放棄であり単なる責任転嫁であり、勝手に神の後ろ盾を得た実に無責任極まりないモノでもある。

 そんな彼が亡き妻が重なるどこか達観的な女性と出会ったことで、自身の在り方を見つめ直していくというのが主題。

 ひたすらにアクションが続き終始暴力的ではあるんだけど、主人公が相対する人間の所作や挙動を捉える、またそれを受けてこちらの出方が変化するといった演出が丁寧で、彼の精神的な葛藤ともリンクするカタチはとられているので、アクションもドラマのどちらも中々に見応えのある作品だった。
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