デンマークの海岸沿いにナチスが埋めた大量の地雷を、終戦後のドイツの少年兵たちに撤去させる。そんな事実があったことを、この作品を見るまで知らなかった。
地雷の撤去作業シーンは、いつ爆発するかわからない恐怖に、思わず目を何度も目を覆ってしまった。安全地帯で見ている私がそうなんだから、実際撤去作業をさせられた彼らの恐怖を思うと胸が痛い。
戦時中、ドイツの占領下に置かれたデンマーク。ドイツ兵に祖国を踏み荒らされ、酷いことをされた彼らの怒りは、ドイツ兵への憎しみでわかる。
憎いドイツ兵なのだから、いくら少年兵だからといって甘やかすことはしない。餓死しようが爆死しようが知ったこっちゃない。地雷の撤去作業の指揮官であるデンマーク人の彼もそう思っていた。
でも、彼らはまだ夢も希望もある少年たちで、大人が始めたこの戦争の尻拭いを、果たして彼らがしなければならないのだろうか。人種が何だの前に、彼らは人間であり、そして自分にも良心がある。
彼らと過ごすうちに変化する指揮官の心の変化が、こんな人間の悪を煮詰めたような現実に、希望を見出してくれる。
胸が痛くなるシーンや目を背けたくなるシーンもたくさんあるが、それでも人間の良心を問う素晴らしい名作だった。
