かのん

Bleak Night/BLEAK NIGHT 番⼈のかのんのレビュー・感想・評価

Bleak Night/BLEAK NIGHT 番⼈(2010年製作の映画)
3.9
ある少年が死んだ。生前、息子に無関心だった父は、息子の友達を訪ねて死の真相を探り始める。調べていくと息子には2人の親友がいたが、1人は息子が死ぬ前に転校しており、もう1人は葬儀に参列していなかった。純粋で真っ直ぐだった高校生という時代。未熟でお互いを思いやれないことで生まれた小さな誤解と辛辣さ。少年達の友情はそんな些細な出来事でバランスを崩していく。

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ある少年が亡くなった理由を父親が探る話だが、あくまでも主役は3人の少年だからこそ、父は「死の真相を突き止める理由」という立ち位置だけでそれ以上の情報を出してこないのが良い。いつも3人でつるんでいた少年たちに何が起きたのか、何故バラバラになり、何故亡くなってしまったのか。そこに焦点を当てて観ることができる。

「たった一度だって友達と思ったことはない」

劇中に出てくるセリフ。これを些細なことでこの世の終わりぐらい傷ついてしまうような青春時代に、誰よりも信頼して大事にしていた親友からかけられたら。自分の学生時代と重ねてみると少年の想いが痛いほど伝わってきた。

それを引き起こしたのは自分自身だし、彼の言動に問題があったことは否定できない。ただ、生まれ育った背景を見てみると彼は「自分のことを見てくれる人」「自分を愛してくれる人」を心の底から求めていたのだろう。終盤に言っていた「注目されたい」という言葉、彼の背景と高校時代という多感な時期も踏まえてあまりにも心が痛い。

2011年ということで10年前に制作された映画で、当時新人為俳優だった主演3人のイジェフン、パクジョンミン、ソジュニョンも今となっては主演を飾ることも多い若手名俳優達。名作だと思う。
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