やわらか

君はひとりじゃないのやわらかのレビュー・感想・評価

君はひとりじゃない(2015年製作の映画)
3.8
何じゃこれは・・・点数で評価しにくいなー。
 
良いか悪いかで言えば良くないけど、アリかナシかで言えばアリのような。ある意味禁じ手のような。

(以下ネタバレ注意)
 
 
 
 
 
 
この映画、基本的な作りとしてはヒューマンドラマになるのかな。警察の鑑識官として働く父親と、母の死を機に心を病んで拒食症になり入退院を繰り返す娘。病院で娘をカウンセリングするセラピストの女性が、すれ違う父と娘の関係を修復しようとして・・・といった感じ。
 
この基本ストーリーと並行してオカルトっぽいシーンがいくつか挿入される。例えば冒頭首つりした男が地面に降ろされると走りだすとか、セラピストが死んだ筈の子供と会って話をしたり、死人のメッセージを伝える降霊会のようなものを行ったり。。。伝聞ではなく直接そう言うシーンが描写されるので、ぶっちゃけスピリチュアル何とかみたいな感じ。正直、後半の途中まで、この映画は幸福の科学とかその辺の新宗教がお金出して作ったやつかと疑った(シネマートってそういう映画を上映することもあるし)
 
娘役のユスティナ・スワラは怪しい雰囲気を醸し出しつつも笑うととても可愛いし、セラピスト役マヤ・オスタシェフスカの姿勢のいい立ち姿も素敵。馴染みの薄いワルシャワの街並みとか鉄道見るのもとても楽しい。
 
で、問題の映画の結末。

はじめはセラピストの行動を疑っていた父親も、死んだ妻からの手紙を読んで信用しはじめ、娘と3人であらためて降霊の儀式を始める。ここからありえる展開ってたぶん以下の3つぐらい。
①亡き母の声により父娘が和解してスピリチュアル系ハッピーエンド
②亡き母の声により隠された過去が暴かれ文芸系バッドエンド
③何も起こらず、これまでの超常現象のタネ明かしがあってサスペンス系バッドエンド
 
しかし実際は、
④何も起こらず、娘が手紙を書いていたことを告白し、父娘和解のハッピーエンド
になる。 

・・・いや、これまでの展開は何なの?(^_^;

超常現象関係の描写とか父と娘の葛藤とかがいきなりぶった切って、綺麗にまとめるって。それでいいんかーい!まぁある意味それが不条理っぽい感じで何とも言えない後味になってるので何とも言い難いところがあるけど、うーん。なんかしてやられたような変な感じ。

原題はポーランド語"Cialo"、英語で言うところの"Body"(肉体・死体)で、邦題は主題歌"You'll never walk alone"の訳を採用してる。悪いわけではないけど、結末を解釈する時、タイトルが"Cialo"かこっちかで結構違うんじゃないかと思ったり。

あ、あとこの映画のヤバい雰囲気のシーンでは、トイレとか洗面所とかシンクとか水回りがとても汚くて、内面的な乱れが表れているようで凄く嫌な感じだった。で、家帰ってすぐにしばらくサボってたトイレの掃除をしました(笑)
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