にこ

ハドソン川の奇跡のにこのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
4.5

事実にきちんと基づいて、余計な演出を入れることなく真摯な作りのこの映画はさすがクリント・イーストウッド、生真面目っぷりが良い作品に仕上がってますね。

ノンフィクションものでここまでしっかり作られてるとぐぅのねもでないね。
事実、ハドソン川に不時着水するということは、車輪を使って着陸できない分、陸地に胴体着陸するものと同等のものであるうえに、水の抵抗により侵入角度が少しでも誤れば機体への衝撃が著しく破壊、爆発も大いにあり得る事なんだよね。
11°です。12°でも10°でもなく、11°で着水しなければ機体は破壊、乗客全員無事であることはなかったでしょう。

それほどまでにむつかしいことをやってのけた機長はメディアや国民から英雄として称えられることと同時に、
飛行機事故調査委員会からハドソン川に不時着水しなくても空港に引き返し、無事機体も無傷でかえすことができたのではないか。
機長の判断ミスで乗客を危険に晒したのではないか、という疑惑をかけられる。
あまりにも衝撃的な体験をした後に、メディアのあまりにも多いマイク、カメラ、フラッシュに気が滅入り。
事故調査委員会での自分の判断の誤りがあったかもしれないことを告げられる機長サリーに焦点が合わされ、自身の決断の信念が揺らぎ、苦悩していく様はトムハンクスの演技のうまさがまた際立ちます。

最後に機長が言う
関わった人全てが迅速な対応、救助を行ったから成し遂げられたのだ、と。
そう、あの状況下でも冷静でいられた副操縦士、不時着水した後にすぐさま救助に向かう船やヘリ、搭乗員の対処、皆がいたからこそ、死者を出さずに全員救助ができたのだ。
全ての人が成し遂げた奇跡。

9.11以来、良いニュースがなかったNYで起きた奇跡は、皆の心に残る奇跡になったんだ。
それをクリント・イーストウッドがきちんと映像として記録した。
素晴らしいよ、クリント・イーストウッドじいちゃん。あなたもう86だというのにほんとに素晴らしいよ。
もっと作品撮ってくれ。

ラスト、副操縦士アーロンエッカートのジョーク。
これ、こういうまともな席で言ってみんな笑える国だからいいよね。
これ日本だったら一発不謹慎だって総叩きだよね笑
にこ

にこ