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SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁の傘籤のレビュー・感想・評価

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舞台を1985年に、つまり正典である『シャーロック・ホームズ』の時代に移したドラマ版の”エピソード10”。あくまでドラマシリーズに連なるエピソードとしているのは少々変わった構成にある。

本作は2010年代のホームズと、1985年のホームズの物語を交互に見せ、夢の中でその記憶を少しずつ共有することで、お互いがお互いにちょっとずつ影響を与えながら事件の真相に迫る、という構成になっているのだ。そのため後半になるほどカットの繋ぎが分かりづらく、言い方を変えれば幻想的になってくる。さらに2010年代の方はドラマシリーズの「シーズン4」に繋がるようしていたり、1985年の方はアイリーンの話や、モリアーティの暗躍など、ダイジェスト的に「観客が見たい場面」を用意しているため、なんだか無理やり繋げた感はある。

それでも映画ってやつは奇妙なもので、理性では「変なの」と思いつつ、勝手にその繋がりや台詞の意味を「こちら側」が補完できてしまうため、ちゃんと一本の作品として観ることも可能なのだ。

個人的には19世紀のシックな雰囲気で、『SHERLOCK』の俳優たちが活躍しているのが見れただけで満足。またSF好きとしては「過去の自分」と「未来の自分」が時代を隔てて協力し合うという構成はちょっと変わった時間SFとしての味わいもあり楽しかった。
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