ファイナル・カットを配信している動画配信サービス

『ファイナル・カット』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

ファイナル・カット
動画配信は2024年5月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『ファイナル・カット』に投稿された感想・評価

菩薩

菩薩の感想・評価

4.0
これはあれですね、まさに「男と女と一台の車があれば映画が撮れる」ってやつですね。まぁ撮ってないし、ヌーヴェルヴァーグしてないし、もっと普遍的なラブストーリーかつメロドラマで、生命の循環のお話なんだけど。ガイ・マディン『The Green Fog』は限定的な条件下で一本の映画(『めまい』)を再構築する試みだったけど、こちらはかなり自由に一本の独立した映画作品を目指して、古今東西あらゆる映画をピースとして用いてパズルを完成させている感じ。思わずどっちが楽で簡単なんだろうかと考えてしまうけど、どっちも楽じゃないし簡単でも無いなこれは、気が遠くなる作業だし権利問題クソめんどくさそう。英語字幕しか付いて無いってんで「分からなかったどうしよう!」とお母さんの退院が一旦中止になった時のサツキばりに半ベソかきながら観たけど、英検3級の俺でも分かったし、ちょっと何か言ってんのか分かんなくてもストーリーはめちゃくちゃ分かりやすいから安心してご覧ください、無料やし。グロテスクかつエロティックな食事シーンがなんともパールフィ・ジョルジっぽいし、そのあとのSEXシーンの繋ぎがエロ過ぎる。ヨーダがババア扱いされてんのはウケた。
[魂の抜けた陳腐な恋愛物語] 50点

映画のファイナルカットだけで物語を構築していく鬼畜縛りなのかと思ったらそういうわけではなかった。それでも、映画の断片だけをつまみ出して犯行声明文(バンブルビーでもいいや)みたいに別の文脈を構築していくのは、映画好きとしては堪らないものがある。特に、この手の作品は作り手の鑑賞作品に依存してしまうので、ハンガリー人らしくハンガリー映画をサブリミナル的に投入しているのは個人的に嬉しいポイントだった。ケイリー・グラントとライザ・ミネリに挟まれて『シンドバッド』のラティノヴィッツ・ゾルタンが登場し、遊園地のシーンではハンガリー映画史上伝説的な『メリー・ゴー・ラウンド』のトゥルーチク・マリが登場し、男女の出会いには『私の20世紀』のドロタ・セグダが登場するのだ。最高じゃないか。

最近でも『Just Don't Think I'll Scream』『★』『State Funeral』、少し遡れば『The Green Fog』『Revue』『死に至る星条旗』のように既存の映像作品を別の文脈に組み替える作品は存在し、それぞれに監督が勝手に縛りを加えていたが、本作品にはそれがない。それによって普遍的すぎる物語が生成されてしまったため、"映画って結局こんなものでしょ"と単純化してしまっているように思えた。結局、映画は単純化されたプロットを物語ることだけに終始してしまい、再構築の楽しさとの化学反応が起こっていないのだ。これじゃあバビ語喋ってるの聴いて元の文章を推測するってだけじゃないすか。モンタージュ映画の限界点を見せつけられているようで悲しくなってくる。その点、『めまい』の再構築であるとか、無職になった現状を語るとか、アメリカの歴史を再構築するとか、そういった共通認識の下で別のものを再構築する方がより高次の議論が出来るのだろう(それはそう)。

あと、この映画には思想が感じられなかった。監督が映画の中にいないみたいな感覚的な部分から、連想ゲーム以下のレベルで繋がれた動作線、切り返しに至るまで、まるで魂が抜けているかのようだ。ロズニツァのファウンド・フッテージものや『The Green Fog』はプリミティブな形のモンタージュ理論を実践していたが、本作品は意味もなくシーンを細切れにしすぎているし、一つの情報に対する映像も多すぎる。

キャバレーのショーを観るシーンとかボーナスステージみたいに詰め込めるだけ詰め込んだ感があって笑える。別に400本詰め込んだからって安くなったりするわけじゃないよ(寧ろ権利関係で色々大変では)。個人的には全シーンを解説できる人を隣に置いて、どのシーンが何の作品か教えて欲しかった。私はこういう固有名詞に激弱なので激甘評価を付けているが、正直あんまりハマらなかった。

※追記
黒人が全く登場しないという指摘を見てなるほど確かにと納得しつつ、主人公たちが白人男女という概念であることをモンタージュで示すため、黒人を登場させるとそれが掴みにくくなってしまうから意図的に排除したものと考えた。同時に、それほど白人同士以外の恋愛が描かれた映画が少ないという批判の裏返しなのかもしれない。

※追記2
思い返す度に腹が立ってくるし、どんどん熱が冷めて評価も落ちてくる。
ペジオ

ペジオの感想・評価

4.3
例えば…「哀しみを伝える」ショットを連ねたかと思いきや、途中から「ベッドで寝返る」ショットの連なりに代わる
後のシーンは本来哀しみなど孕んでいないのに、全てが「哀しみを伝える」シーンになってしまう
わかりやすく別の映画のシーンなのでそれを意識できたが、普通の映画でも自然に行われている「クレショフ効果」を改めて実感する
基本そういう風に構成されたシーンばかりなので、知ってる映画が出たら「ここそんなシーンじゃねえ(笑)」と思えてメッチャ楽しい

中盤の「主人公」と「悪い男」のバトルシーンは「ベタな結末」で脳内補完して観ていたけど、もしかしたら「悪い男が勝っていた」のかもしれない(この映画の手法では実はどっちが勝ったか断定できない。)
だとすれば丸々違う話になっていた事になるが、それはそれで面白い

所々フザケたショットが挿入されるのも楽しい(ヨーダはババアだった…?)

「黒人がほとんど出てこない」というのは確かに思ったが、映画史の業の部分も含めて総括した結果だろうし、実は一番重要な分岐点でダニー・グローヴァーが映るので「量より質」という意味でジュウブンだと思う

『ファイナル・カット』に似ている作品

ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行

上映日:

2022年06月10日

製作国:

上映時間:

167分
3.6

あらすじ

本作はスコットランドのドキュメンタリー監督マーク・カズンズによる、2010年~2021年に公開された傑作映画111作品に焦点を当てたドキュメンタリー。これまでの人生で「きちんと数えた事が無…

>>続きを読む

ストーリー・オブ・フィルム エピソード8. 世界を席巻する新しい波

製作国:

上映時間:

65分
3.6

あらすじ

1965~1969年。映画製作が世界中で活気づき、ポーランドのアンジェイ・ワイダやロマン・ポランスキー、日本の大島渚や今村昌平、ソ連のアンドレイ・タルコフスキー、さらにインドやブラジル、イ…

>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ

上映日:

2020年08月28日

製作国:

上映時間:

94分
4.0

あらすじ

音楽、声、効果音など、映画を彩る様々な音はどのように作られ、どういった効果を生んでいるのか。映画に命を吹き込む映画音響の世界とその歴史を紐解く、感動と興奮に満ちたドキュメンタリー映画が誕生…

>>続きを読む

リュミエール!

上映日:

2017年10月28日

製作国:

上映時間:

90分

ジャンル:

配給:

  • ギャガ
4.0

あらすじ

多くの演出、撮影技術、撮影機材を開発したリュミエール兄弟の功績を称え、『工場の出口』『ラ・シオタ駅への列車の到着』など110以上の傑作が新たに修復され蘇る。そう、映画はここから始まった―。…

>>続きを読む