浅野公喜

ハッピーバースデー 命かがやく瞬間の浅野公喜のレビュー・感想・評価

3.9
誕生日に「あんたなんか産まれてこなきゃ良かった」と母に言われた少女・あすかが主人公のベストセラーの児童書原作のアニメ。小学生の時図書館で今作のポスターを見掛けて以来ずっと気になってた作品でした。

上記の暴言に加えビンタを食らわせる最低な母親が強烈で、あすかは声まで出なくなる始末。しかしながらのびのび生きる田舎の祖父母や養護学校の障害児の少女と交流を深めることで声を取り戻し勇気を得て存在意義を見出しクラスのいじめられっ子を救うまでに。そこまで書くと単なる成長物語にも感じますが、どのキャラにもフェアに苦しみや悩みが与えられているというか虐待やいじめの連鎖、兄が通う学校というシステムの息苦しさ、病気や障害を抱えたことで周りに気を使ってもらえる事に対する嫉妬や憧れを感じていた母親やいじめっ子の心情も描かれてる非常に濃い内容で<真面目な道徳アニメ>と敬遠するのは勿体ないかもしれません。

いじめの討論等を目的とした保護者会では生徒も参加し自殺した中学生の遺書を読み上げて嗚咽、というのもヘビーながら効果的か。適度な重さの内容故に今観てもしっくりきます。
浅野公喜

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