かのん

お嬢さんのかのんのレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
3.6
舞台は1939年の日本統治下である朝鮮半島。世間とは隔絶された土地で、大量の蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ることなく暮らす令嬢の秀子(キムミニ)。富豪の中で1番の読書家であり、読書家の中で1番の富豪である叔父(チョジヌン)と暮らしていた。ある日、秀子の元に新しいメイドのスッキ(キムテリ)がやってくる。彼女は、秀子の莫大な財産を狙う詐欺師の伯爵(ハジョンウ)の手先だった。伯爵は秀子と結婚し、その後に彼女を精神病院に入れて財産を奪う計画を立てていた。順調に進む計画だったが、スッキと秀子は次第に惹かれていくのだった…。

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イギリスの歴史犯罪小説「荊の城」 を基に作られた作品。全3部構成。どんでん返しの愉快痛快エロティックサイコスリラー映画。「オールドボーイ」のパクチャヌク監督らしく、あぇっ!と言わされる作品。あらすじを読んだときにはスッキと秀子が惹かれていくの?と思ったけれども、実際に観進めていくとお互いがお互いの美しさに囚われていったのだなと納得した。キムミニとキムテリの体張りまくり演技すぎて周りにオススメしたいものの人を選びまくりそう。

テーマは抑圧からの解放、自由。叔父に支配されている秀子、伯爵の手下であるスッキ。男性に支配されている女性が解放され、飛び立っていくということが主題だと思う。屋敷から出ることを禁じられ、幼少期からとある朗読をさせられ、叔父の支配から抜け出せない秀子にとって、突如現れたスッキは彼女にとっての希望だった。そしてスッキも彼女の美しさと孤独さに惹かれ、2人で自由への抜け出そうとする。

劇中に日本語を使うシーンが多々出てくるが、当然日本語字幕はないためにカタコトの日本語が気になってしまって作品に入りこめなくなってしまう時が多々あったのだけが残念。きっと母語が日本語じゃない人が観た方が面白く観ることができそう。
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