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ナラタージュのamuのネタバレレビュー・内容・結末

ナラタージュ(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

松潤に、「君が僕を救ってくれたんだ。」と言われたい人生だったーー!


ずるいよ、葉山先生ー
そんなん好きになっちゃうし、引きずってしまうよ、、

…ふぅ。


原作未読のくせして前回鑑賞の「Red」と同じ原作者さんの映像作品。

この作家さんあれですね、過去に執着タイプなんですな。またしても昔好きだった人に再会パターンでした。


私自身は過去に執着では無く、過去も含めて今を生きているぞ、という当たり前といえば当たり前なんですが、そのことに割と意識を置いて日々を生きている(つもり)。今の自分を形成するに至ったという意味で、過去も引き連れて生きている、というか。(過去を置いてけぼりにしない。)

恋愛のことで言えば、過去に付き合った人のことを思い出す場面などそうそう無いけれど、良くも悪くも短くも長くも、人との出会い別れがあって今の自分があることは大事に思っているし、忘れてはいない。

ふと思い出して、当時の気持ちが甦り涙が出そうなエピソードもあるけども、思い出しているのは当時のことであって、今元気かな何してるかなとかでは無い。こんなことがあったなぁ、てやつ。よく時間が解決すると言うけれど、割とその通りで、一日一日と今日は過去になり、思い出になっていく。

今一緒にいないということに本意も不本意もあれど最終的に自分で納得する理由(せざるを得ない理由)があってのこと。離れたく無い人だってもちろんいたけれど、それも時間が思い出に変換してくれる。

この作品の二人は今の状況を、「まぁぼちぼちやってますわ」的に口では言いながら心は泣いていて、今を生きていない。過去時間に立ち止まったまま進めないでいる様子が非常に表現されているので見ていて切なかった。(ここが「Red」との大いなる違い。)


久々に個別で、キャスト勢について。

まず、松潤。特別ファンでは無いのにも関わらず、魅力を感じた。演技が巧いとかそういうことでも無いのだけど、、何故かハマってしまうな。気安く外野に「あんな男、やめとけ。」とか言われたくない感じ。(どんな感じ?)

や、葉山先生(松潤)はずるいですよ。先生として生徒への愛情ですとはもう言いきれないのはそれこそ当事者同士の空気感でずっと感じ取ってきたことだったと思うから、最後海辺で当時どう思っていたかを話してくれた時に、これまで一切言葉にせず空気感だけで交わしてきた二人の関係性が言語化され、これがいわゆる、離れたくないけど自分で納得するしかない、思い出に昇華するしかない案件なのよなー(泣)と思った。だから、冒頭にも書いた例の先生が言ってくれた言葉は、これまで先生を想ってきた工藤さん(有村架純)の時間に対する救いとなり、これから生きていく上で大切にしまっておきたい言葉になったと思う。

弱さや辛さを抱えた共依存な関係は、いつかどちらかが先に旅立ちの時を迎える。まだ離れたくない側は非常に辛いと思うけど、少しずつ、この作品の「今」のように、そしてラストシーンのように、大切な思い出になっていってほしいと思う。がんばれ、工藤さん(かすみん)!

工藤さんを好きな小野くんを演じた坂口健太郎さん。なんだ、この、あるある感!笑(表向きめっちゃ良い奴からの、付き合って豹変パターン!)それこそ大昔の元カレを思い出してしまったよ。私の場合は小野くんの比じゃなかったので、人類の誰とも口がきけなくなりましたが。笑

いやー、坂口健太郎ー、やれば出来るじゃん!(誰)見直しました!(誰)薄ら笑いでママぁーみたいな役より毒っけある方が向いてるのかも。「君と100回目の恋」は引くほど下手だったけど、「海街diary」のクズ感そいえば良かったもんね。

ブラック小野くんというスパイスが効いていて、だれそうな作品テンポもなかなかに楽しめました。うんうん、土下座させた後に抱きしめるよね~(遠い目)

そして、かすみん。演技は安定して良いし、何より可愛いから全部許しちゃう!けど!ベッドシーンがあまりに下手過ぎるよ~~。石原さとみのガッディラ(ゴジラ)並の酷さ。?

ずっとプラトニックな関係だったのに、お別れ記念に最後にするのはなんか「えー」と思ってもうた。ずっとずっとソウルメイトのようにもはや恋なんてものじゃないくらい思い続けていた先生にとうとう抱かれているというのに、小野くんとしてる時と同じ表情はいただけ無い。「うふふふ顔」で抱かれてるのも違和感過ぎたなぁ、。そもそも気持ち良さそうじゃなくて、泣
刹那なベッドシーンは完全に夏帆に軍配です。

あと、推しの金子大地が思いがけず出ていてちょっと嬉しかったのと、瀬戸康史はもはやベテランバイプレイヤーすね。安定の巧さ。


抱えているものがジョーカーほどでないにせよ重く暗く弱りきっている葉山先生、支え続けた工藤さん。そんな工藤さんも先生に救われ、好きになった。生きている上で本当に辛い時に助けてくれた人、支えてくれた人というのは人生でそんなに出逢えるものでも無く、それだけに自分にとってかけがえのない大切な存在だと思う。これからもずっと大切にしたい、自分の全力で支えたいという思いがあるのにそれが相手の旅立ち(過去を捨て次に進む的な旅立ち)で二度と会わないことにされるのは、この思いをどこに持っていったらいいのか、、って途方に暮れちゃうと思う。だけど、多分それを自分自身に向けて、先生を想ったように自分を大切にしてあげることが出来たら、きっとまた心から笑える日がくるのだと思う。
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