凋落の真っ只中にいる映画監督(板尾創路)が、脳裏に焼き付いているピアノ曲に取り憑かれたまま、義憤と憔悴を性欲の爆発に転換させていく。欲情を貪り尽くしている中年男性の自己実現を描いている、ロマンポルノ・リブート企画。風祭ゆきが看護婦役で出演している。
今回のリブートでは「女性も楽しむことができるポルノ映画」が掲げられているため、オシャレな題名とフォトジェニックな映像美が炸裂する。昔のロマンポルノは生理の饐えた臭いがしてくるけれど、本作はブランド香水の匂いが漂ってくる。
「ジムノペディに乱れているのは板尾創路のほうだった」という倒錯感覚が、それなりに見応えあり。男を手玉に取る芦那すみれの小悪魔ぶりもアッパレだが、個人的には「処女は嘘」というオチのほうが良かった。
楽曲「ジムノペディ」がクドイほど多用されており、ドラマ内における本物の演奏なのか、それともBGMなのか、判別できないという難点あり。しかし、プレゼン的作品としては良好であり、劇場には若い女性も入っていたし、まずまずと言ったところ。