らんらん

MIFUNE:THE LAST SAMURAIのらんらんのレビュー・感想・評価

MIFUNE:THE LAST SAMURAI(2015年製作の映画)
4.5
三船敏郎さんの出演作は数作しか見ていないので(「羅生門」「七人の侍」「天国と地獄」「赤ひげ」)、本当はせめて「用心棒」を観てからこのようなドキュメンタリーを観たいと思ったけど、観てしまった。
配信終了というアマプラのお達しに負けた。アマプラのイケズ…。

結果的には観て良かった。

青島で生まれ大連で育つ1920〜30年代。
幼少期は父の写真のモデルとなり、後に写真館の手伝いをした経験は、スター俳優への道を暗示しているようだった。

戦時中の話を涙ながらに話していたという息子さんのお話には一人の人間を感じられたし、仕事仲間の「三船さんを一言で表すとすれば、我慢の人だった」という証言は少し意外だった。

全体の内容としてはwikipediaにも載っているような事だが、スコセッシやスピルバーグのインタビューがあり、香川京子さんによる黒澤監督の弔辞朗読(抜粋)は、香川さんに寄った画面に惹きつけられた。

三船さんに直接関係ない事だけれど、残存している邦画黎明期の貴重なフィルムを色々観られたのは有難い。日本舞踊、歌舞伎の型から映画的な動きに変化して行く様子も見られる。このパートも自分としてはめちゃめちゃ面白かった。観たシーンは力強くて全編観たいけれど、残っていなくて残念。

現地エージェントのオススメで「スターウォーズ」を蹴って「1941」に出演したというエピソード。

ルーカスもスピルバーグも既にそれぞれ「アメリカン・グラフィティ」や「ジョーズ」で成功していたけど、スピルバーグの方が信頼があったのかな。ルーカスの愛は届かなかった。いやせめて「未知との遭遇」だったらな。
1977年は、「スターウォーズ」と「未知との遭遇」が公開された。凄い。1979年は「地獄の黙示録」。1980年にルーカスとコッポラも関係する黒澤明の「影武者」。

影武者も乱も、三船敏郎じゃダメだったんだろうか。なんて素人は思ってしまう。躍動感に溢れた姿がスクリーンと記憶に刻まれた三船さんには向かないのか。
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