このレビューはネタバレを含みます
トナカイを殺すということは、"エレ・マリャ"を殺すということ。
妹を弔うということは、"エレ・マリャ"を弔うということ。
差別うんぬん、という話というよりは、「血」というものを乗り越える難しさ、そしてそれにともなう痛みの話。
「血」からは逃れられない。じぶんの血がじぶんを束縛する、それが嫌で一度は逃げたとしても、やっぱりじぶんの血管にはその血が流れている。血の色が表れた名前を殺しても、血の色が見える服を脱いでも、それは外から見えにくくなっただけで、血の色そのものは変わらない。
その色が憎くても、誇りでも。