真一

標的の島 風かたかの真一のレビュー・感想・評価

標的の島 風かたか(2017年製作の映画)
2.1
  この映画を通じ、米軍基地に反発する沖縄県民が多数いることはよく分かった。米国と内地の平和のため、狭い沖縄にあれだけの基地を押しつけるのは不平等極まりない現実も、よく分かった。ただ、 あまりに内容が単調。しかも反対派からの視点しか提供しないため、かえって賛成派の言い分が気になってしまった。

とりわけ気になったのは、長射程ミサイル配備計画で揺れる宮古島のシーンだ。「ミサイルが来れば島は再び戦場になる」と訴える反対派の島民。「丸腰でいれば、島は覇権主義の中国に飲み込まれる」と主張する賛成派の島民。双方に言い分があるにもかかわらず、反対派の視点からばかり伝えるのはいかがなものかと思った。かえって、ほんの少ししか紹介されなかった賛成派の抑止力論にもっと耳を傾けたいという気分にさせられた。

本作品をみて、改めて沖縄の痛みに鈍感な自分を再認識した。その点では、みて損はなかった思う。ただ、映画作品として成立しているとは言い難く、人には勧められない。
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