やわらか

オン・ザ・ミルキー・ロードのやわらかのレビュー・感想・評価

4.3
予備知識なしに観たけど強烈だったなー。分かりやすさはないし、ジャンル分けもできない。フリーダムに作ったスケールの大きな作品。
 
ざっくりしたストーリーとしては、国連を巻き込んだ内戦下にある国(ユーゴスラビア色が濃い)のゲリラ側地域で生活を営む男女が主人公。ただ、そこに生きる人々やさらには家畜・動物、あるいはその地域自身をも含めたものが映画の主体のような気もする。
 
戦地であっても人は生きて恋をして、結婚をして、食べて、飲んで、歌って、踊る。そう言うのが、戦争で分断されるんではなくて、延長線上にあるような。ファンタスティックなもの、夢も含めて、すべてが同一平面で描かれる感じ。
 
あとこの作品、動物が凄い。生物(イキモノ)で(ナマモノ)。切り裂かれる家畜の豚。豚の血に塗れる家鴨。牛乳を飲ませて貰ったお礼に人間を助ける蛇。他にもハヤブサ、ロバ、ネコ、熊、蝶にハチ。ただ映像に映されるだけではなくて、すべてが映画の中に組み込まれて人間と関わって行くところがすごい。そして、羊。あんな使われ方するなんてね。で、人間も動物も同じように死んで行く。とってもfair。
 
映画の舞台からして一応宗教の描写は東方教会っぽいんだけど、映画全体の雰囲気はどちらかというと、汎神論というか世界の一隅に神宿る雰囲気がある。喜びもあれば苦しみもある。笑いもあれば涙もある。観た人に何かを答えたりするような映画ではなくて、感じたりある時思い出したり、そんな風な感想を持ったな。
やわらか

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