MrFahrenheit

ブルックリンの片隅でのMrFahrenheitのレビュー・感想・評価

ブルックリンの片隅で(2017年製作の映画)
4.1
ハリス・ディキンソン演じる19歳のフランキー。夜な夜なゲイチャットサイトで出会った男と体を重ねるが、自分をゲイだとは認めていない。愛してもいない彼女を作り、友達とも呼べない悪友たちとドラッグや非行に耽る。

あらすじだけ見ると内容が想像できそうなL(G)BTユースを描いた作品だけど、作中ハリス・ディキンソンは多くを語らず、目線や表情でフランキーが抱える苦しさや複雑な感情を表す演技がよかった。カメラワークも19歳の瑞々しさと不安定さ、儚い煌めきを上手く捉えている。明示されていないけど、恐らく悪友の1人は何か勘づいている、もしくはフランキーと同じなのかもしれない。はっきり見えない友達の指の長さ。曖昧な部分を残したまま話は終わる。分かりやすいオチを見せないところが生々しくリアルに感じられた。

グザヴィエ・ドランは「ゲイが最初に覚える嘘は『自分はゲイじゃない』と自分につく嘘だ」と言っていた。その嘘は自分も周りも傷つける。

繰り返されたテーマが刺さるのは、未だにこの問題が現実だから。社会や法律がいくら同性愛を認めても、本人が自分自身を認めなければその苦しさからは解放されない。最後に自分を救えるのは自分というのは、ゲイに限ったことではない。
最初の一歩が踏み出せないフランキー。花火を見て何を思う。

ちなみに彼女役がアレックスストレンジラブのアレックスの彼女と同じ。同じ役回りですね。演技ハマってました。