足らんティーノ

ザ・スクエア 思いやりの聖域の足らんティーノのレビュー・感想・評価

4.2
"「ザ・スクエア」は信頼と思いやりの聖域です。この中では誰もが平等の権利と義務を有します"

スクリーンというスクエアの中で、主人公に起きるふたつの事件を軸に、「優位に立とうとする人間」と「弱者を無視する人間」の本質を描く。

「連帯はどこへいったの? 声なき人々や弱者との連帯よ」
権威や立場を利用して優位に立とうとする人々が登場して、社会的弱者を直視し、平等というものを強く意識させる、社会民主主義の根ざした北欧らしい作品。

自分のことに気を取られチェックがおざなりになり動画の事件へと発展するというプロットは、思いやりを欠く行為によって自分が弱い立場になり、そうなった時に自分がそうしたように誰も思いやりを与えてはくれない、ということを端的に指摘している。

この作品自体が美術作品のように意味を自発的に考えさせる。
それだけでなく画の作り方や緊張の高め方、注意の集め方をよく心得ていて、エンタメとしても非常に良くできている。
パーティー会場のモンキーマンのシーンが特に好き。

自粛することが単純に善ではなく、エスタブリッシュメントによる表現の自由の自己検閲という問題点も提起している。

2023-219/字幕
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