のうこ

寝ても覚めてもののうこのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.0
今年ベストの大傑作。
席から立って戻ってきて座った時にはそれまでいたはずの人間とは違う人間が現れ、唐田えりかを「やっぱり待ってたんじゃん」の一言で連れ去ってしまう。自分の選択が間違ってると気付いた時にはもう遅く、何もかもがもう修復不可能、再起不能になってしまう。あの決断によって今までの世界と全く変わったかのような不穏な世界になっているという恐ろしさ。あの海。話すこともできなくなった岡崎の姿や、もはや唐田えりかを信じることができなくなった東出との関係。

冒頭の交わるようで交わらない2人の視線からの見つめ合いからしてたまらないが、その後の絶妙な視線の描写で楽しませてくれる。屋上から唐田えりかを見下ろす東出→雨が降る→雨を受ける手のクローズアップ→再度見下ろす東出→(雨の上から下への動きによって)東出を見つめる唐田えりかのつなぎ、たまらん!!このビルの非常階段のシーンの反復や牛腸茂雄の写真展シーンの反復も最高。なにより地震が起きた時の、なんとなく人が一斉に歩いていくシーンのなんとも言えない「東京感」よ!!そのあとの唐田えりかとの見つめ合いもまじでたまんないす(ここも反復、麦との出会い)。ユリイカの対談で東京を東京としてあんまり撮れていないんじゃないかという話が出ていたが、このシーンまさに東京という感じで映画の中の街好きとしてはたまんなかった。スカイツリーとかなんかの実景カットよりも100倍東京ですよ。

次はエンターテイメントなコテコテのラブコメを撮ってくれ。芸大から職人監督が出てないのは残念。シネフィル御用達の監督になっていくことがないことを祈る。

どうでもいいが、
ホンサンス水は飲めなかったので、葛藤のカルピスとかいうのを飲んだ。亮平の方。グレープフルーツ味。
のうこ

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