メル

ポルトのメルのレビュー・感想・評価

ポルト(2016年製作の映画)
3.3
ポルトガルの港町ポルトで出会った26才のアメリカ人青年と32才のフランス人留学生。
彼と彼女が異国のポルトで暮らすにはそれぞれの理由があり、異邦人同士が出会って直ぐに心を通わすにはお互いの心の渇きがあった訳で。

ストーリー的には大きな何かがあるわけでなく、ポルトという街を独特の撮影方法で表現したその美しさの方が魅力的だった。

26才という設定の割にはアントン・イェルチンは疲れ切った中年男の風貌で、それが今の彼を物語っていると言うのであれば大成功で「幸せ」から遠い所に居る男を見事に演じていた。
「私は年上の女ね」と言うルシー・ルーカスは常に彼をリードする。
男のロマンチシズムと女のリアリズム。
それにしても思い通りにならない相手に直ぐ手をあげる男には興醒め。

ジム・ジャームッシュが製作総指揮というのがひとつの売りになっているらしい。

最後にTo Anton のクレジット。
「5時から7時の…」でキュートな演技を見せてくれたアントン・イェルチンの余りにも若い死がラストに切なさを倍増させている。
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