NightCinema

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのNightCinemaのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

個人的に人間味のある映画が好みなために、本作はダニエル・クレイグのボンドシリーズの中で一番好きだった。ダニエルが前作までに増して素敵!!アクションもテンポが良くて飽きなかった。

マドレーヌとジェームズが抱き合う度に、ビリー・アイリッシュが聴かせる。この曲、とにかく本作に合う。サム・スミス以上はないと思ってたけど、これも凄く素敵。涙なしに見られない。

今まで、クールでシリアス、無骨なボンドを観てきたけど、笑顔やジョークが本作では至る所に散りばめられていて、ダニエル版ボンドしか知らない自分にとっては凄く満足のいくラスト作だった。評価の高かったヴェスパの回より好きかもしれない。人間臭さがメインだった分、ダニエル・クレイグの魅力をより一層味わえた。

5作目のこういう大きな変化は、ボンドが引退後の設定だから柔らかく描かれたのか、ダニエルの引退があるから彼の意向を採用したのかなど色々あるのかもしれないけど、本作から脚本家に女優のフィービー・ウォーラー=ブリッジが加わったことがその要因だと言われていることをFILMAGAで知った。観ていて、今までよりも脚本が馴染みやすかったと思う。歴代のボンドを観ているファンの人からしたら、賛否両論あるのかもしれない。

ただ、ダニエルと同じぐらいラミ・マレックも好きな立場として、ラミのちょい使い感があり残念だった。ストーリー設定もこだわりに少し欠ける気がして。今回はダニエルの卒業がやっぱりメインだったと思うので、そこまで描ききれなかったのは仕方ないのかと思いつつ、それでも彼の視線や話し方はすべてが精巧で不気味で、静かに狂った役を演じさせたらこの人は本当にピカイチだと思った。日本の能面も着物も畳も、シンプルだからこその薄気味悪さを絶妙に醸し出していてとても良かった。

「時間は沢山あるさ」のジェームズの清々しい一言には、過去作を含めたとてつもない重みを感じた。

歯を折ったり数多く負傷しながら、格好いいボンドを見せ続けてくれたダニエル・クレイグには本当に感動させてもらった。でも、「007という映画は演者の負傷あってこそ」みたいな暗黙の何かが醸成されてはいけないとも思った。演者は演者であって守られるべきで、犠牲のないように撮影してほしいと感じた。

暫くはダニエル・クレイグの映画ばかり観てしまいそう。
NightCinema

NightCinema