Chika

きらきら眼鏡のChikaのネタバレレビュー・内容・結末

きらきら眼鏡(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

平均スコアは低いけど、私は結構好きでした。
基本静かな作品。電車、時計の針、古本屋で本を出し入れする時の音、脱いだ靴が転がる音、そんな小さな日常の音が心地良い作品にはつい心を掴まれてしまう。
明海が駅員の仕事をしているから、普段見ることのない駅員の仕事の裏側を覗けたのも嬉しい。実際も誰かが作った料理をみんなで食べることがあるのかな。
駅員は離婚率と死亡率が高い、なんて話があり、恋人を事故で亡くしている明海の頭の片隅にはいつも"死"があるような印象。
そんな明海が古本屋で目に留まった本も死について書かれた本のようだった。本にはあかねの名刺が挟まれており、「自分の人生を愛せないと嘆くなら、愛せるように自分が生きるしかない。他に何が出来る?」にだけ棒線が引かれていた。気になった明海はあかねに連絡を取り、そこから度々会うように。あかねは明るくて少しあざとく見えたけど、それはきらきら眼鏡(何でもきらきらして見える、心にかける眼鏡)をかけているから。その裏にはがんを患う余命僅かの恋人の存在がいる。恋人がいるのに明海と2人でよく会っていたのは、死を受け入れ乗り越えることが本当に出来るのか試したかったから。最低かもしれないけど、自分があかねの立場でも「もう気にしてない」なんて言う明海に「ホントに?」って気になってしまうと思うから、責めようとは思えなかった。
きらきら眼鏡をかけるあかねについて明海が「多分、きらきら眼鏡をかけてないと、自分が壊れちゃうんじゃないかなって」のようなことを言っていたのも刺さった。
「自分の人生を愛せないと嘆くなら、愛せるように自分が生きるしかない。」あかねがかけるきらきら眼鏡はこの言葉を受けて自分なりに出した答えなんだと思う。愛せるように生きるには、悲観的にならず目の前の物事をポジティブできらきらしたものとして受け止めることがある程度は必要。時々それが虚しく感じることもあるからあかねがこの言葉に対して「正しくて厳しいなあ…って思って」と話していたのも納得出来る。
長々と書いても結局まとめられそうにないのでまた観る機会があれば観たい作品です。
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