華麗なる加齢臭

殺人者の記憶法の華麗なる加齢臭のレビュー・感想・評価

殺人者の記憶法(2017年製作の映画)
5.0
【ソル・ギョングはアジアの至宝】
この作品を観た誰もが、ソル・ギョングの怪演に圧倒される。

いつも同じことを書いているが、私にとって映画を評価するポイントは、構成力やセリフを含めた台本、美術では構図や空気感まで含めた再現性、そして役者の芝居の三点だ。

この作品は、まずもって構成力が優れている。アルツハイマーを患う主人公ビョンスと愛娘ウンヒの親子の絆が上手に描かれているので、だれもがウンヒに危害が及ばないことを願うだろう。
見る者は、緊迫感を強いられながらも韓国映画特有のハラハラ・ドキドキ感を味わい、クライマックスまで一気に持っていかれる。構成力というか展開が秀逸だ。

そして冒頭にも書いたが、ソル・ギョングは本当に凄い役者であることを再確認した。ペパーミントキャンディ、オアシス、力道山等々同じ役者であること気づけない人も多いのではないか。
今回も顔面チックを含め、眼球の動きまで神経を集中させ、見事に若年性アルツハイマーの男に成りきっている。大げさではなく、神業の演技だ。

韓国映画界だけではなくアジアの至宝である。

また、登場回数は少ないものの、アン署長を演じるオ・ダルスも、その芝居とキャラクターが相まって作品にユーモラスと温かさが加わり、見る者は彼に救いを求めるだろう。