広島カップ

ラストマン・スタンディングの広島カップのレビュー・感想・評価

2.9
禁酒法時代のテキサスを舞台に『用心棒』(1961)をリメイクしたウォルター・ヒルの度胸を買います。
ウォルターが用心棒をどう料理するか、冒頭で風来坊(ブルース・ウイルス)が別れ道で空のウイスキー瓶を地面で回して「今日はどっちに行こうか?」決めているシーンで期待が高まります。
しかしブルースの拳銃初抜きシーンで撃たれた男が後方に二回転してブッ飛んで行ったのを見て「大丈夫か?これ」と萎んでしまいます。

観ているとブルースは三船敏郎をクリストファー・ウォーケンは仲代達矢を大分意識しているように観客としては見えてしまって、落ち着いて観ていられなくなります。
オリジナルにおける両者のキャラクターが抜群だったのでブルースもクリストファーも難しい立場での演技だったように思います。
その点『荒野の用心棒』(1964)のイーストウッドは上手く演ってたなと今更ながら思います。三船とは別物のキャラクターを作り上げていました。
荒野の...は用心棒の三年後の製作ですが、はたしてイーストウッドはオリジナルの三船をどれくらい観ていたのでしょうか。
彼は荒野の...の脚本を受け取った時すぐに用心棒の翻案であることを読み取ったそうですが。
オリジナル発表後三年ということも幸いしていて、まだ世界中でオリジナルを観ていない人も多い中で黒澤に黙ってパクったという状況が、それほど緊張感を感じずに演じられた原因かも知れません。
本作はその点では不利で、もうオリジナルは十分に世間に知れ渡っていますものね。

冒頭のウイスキー瓶でも分かりますが風来坊がウイスキーをストレートでグイグイやるシーンが多い。本当にブルースはウイスキーを美味そうに飲みますね。
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