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SUNNY 強い気持ち・強い愛のmfのネタバレレビュー・内容・結末

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

篠原涼子演じる現在の奈美、広瀬すず演じる高校生の奈美、過去と現在のシーンが交互に成され、二本の物語が展開されていく。とはいえ二本のフィルムを見ている感覚というよりも現在の奈美の舞台はまさに今ここの現実世界のような感覚になり、自分と一緒に年を経て、一緒に過去を振り返っているような感覚に陥る。大根仁監督の物語構成と展開は今作でまた一皮向けた感じがする。

音楽は映画音楽最後の仕事の小室哲哉。90年代のヒット曲連発はさることながら劇中音楽も素晴らしい。安室ちゃんの引退、小室哲哉の引退、平成最後、一つの時代の区切りも魅せている作品。モテキ、バクマン。に次ぐ代表作になったのでは。


母の見舞いに病院にやって来た篠原涼子演じる奈美は、高校時代の友人芹香に遭う。芹香は末期の癌患者だった。高校時代芹香は友人グループのSUNNYのリーダーだった。
SUNNYの皆に会いたいという芹香の思いを聞き、長いこと連絡を取ってないメンバーを探しに出る奈美。
まず出会ったのはムードメーカーだった梅。今はブラック不動産会社で営業をしている。成績は良くないようだ。梅と奈美は探偵中川を訪ね、次に見つけたのは当時貧乳がコンプレックスだったはずの裕子。今や裕子は豊胸手術により巨乳になっていて婚活パーティーで医者をゲット、テラス席に犬を連れるセレブになっていた。旦那には過去を話さないため過去を知る二人とは距離を取りたがっていたが、結局芹香の元へ見舞いに行く。
裕子が簡単に見つかった理由は、裕子もまた探偵中川に旦那の浮気調査を頼んでいたのだった。残りの二人はなかなか見つからず、意図的に身を潜めているようだ。

高校時代の広瀬すず演じる奈美。阪神淡路大震災を機に淡路島から東京へ引っ越してきた。当時はコギャルブーム全盛期の90年代。田舎者で浮きまくるが芹香始め友達もでき、仲良くなり多少垢抜けていく。モデルをしていた奈々とも最初は打ち解けられていなかったがいずれ仲良くなった。片思いだったが、恋もした。奈美の友達達はウリもドラッグもやらないと決めていて、その中で青春を謳歌していた。
ある日、賞金をかけたダンスイベントに出場することを決める。小室ファミリー全盛期の中、奇を衒い、選曲したのはオザケンの名曲、強い気持ち強い愛。グループ名はメンバーが屯していたところが陽の当たる場所だったことからSUNNYにした。迎えるは大会当日。

現在の奈美の元に心(シン)の情報が入り、心を尋ねると場末のスナックを営んでいた。かつては美容院を経営していたが旦那のDVにアルコール依存性により廃れた心。ヤクザも取り立てに入る始末。

高校時代にシーンは戻り、いよいよダンス大会当日、やはり皆小室ファミリーの曲ばかりだった。ダンス前、奈美はドラッグにハマってしまった同級生に襲われるが、それを奈々が庇い奈々は顔に傷を負ってしまった。救急車で運ばれる奈々。大会はSUNNYの出番を待たずして終わってしまった。

シーンは現在に戻る。芹香はSUNNY再集結を待たずして亡くなってしまった。芹香の残した遺書には、梅からマンションを買うこと、心に美容院を与えること、あの頃のダンスを踊ってほしいと書かれていた。芹香の遺影の前で踊るSUNNYのメンバー。
ラスト、音信不通だった奈々も現れ、リーダーS芹香亡き前に、S心、U梅、N奈美、N奈々、Y裕子のSUNNYが再集結する。



Scoop!と奥田民生になりたいボーイ的展開だったり、モテキを踏襲するダンスシーンだったりある意味大根仁監督集大成要素もある映画だった。人が亡くなる時には人と人を繋ぐ役割もあるんだよなとも改めて実感。
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