レインウォッチャー

あなたに降る夢のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

あなたに降る夢(1994年製作の映画)
3.5
「奇跡は、たまーに起こるのです」。

一枚の当たりくじによって結びついたふたり。しかし、宝くじはあくまでも天使が背中を一押しするきっかけの一つであって、その前にちゃんと彼は彼女を、彼女は彼を見つめているところが素敵である。
それは、主人公チャーリー(N・ケイジ)の相棒のたった1カットの視線によって表現されている。本人たちも気が付く前の、「あれ?なんかこいつら良い感じじゃね?」の表情、粋。ちなみに後半でもお代わりがありマス。

さて、チャーリーがイヴォンヌ(B・フォンダ)にグラスチェーンをプレゼントするシーンで、思いがけず泣いてしまったりしたのであった。ガチか。(>わたし)

たとえちょっとしたものでも、真摯な贈り物には選んだ時間、つまり贈る相手についてその人なりに考えた形跡があらわれるし、良き受け取り手もまたそれをこそ汲んでくれるはず、とどこかで信じているからかもしれない。だから、贈り物を考えるのって個人的には結構好きです(※1)。チャーリーが選んでいた時間を勝手に想像してうまくシンクロできたのだろう。

このへんの時代のラブコメって、もろもろ素直に受け入れられるかは観る際のメンタルにも左右されるところだろうと思う。なんだかんだ解決も金じゃんとか、いやあこんな善人だとこのあと逆に苦労するっしょ、とか…(※2)

しかしなんていうか、そんなツッコミよりもこの物語がどういう想いを伝えたくて作られたか、を想像してみることの方が大切なんじゃあないかとあらためて思う。…し、それを忘れない人でもありたい。
それはちょうど、プレゼントのモノそれ自体より悩んだ時間のほうを想像してみることとも似ていて…チャーリーとイヴォンヌはまさにその思いやり(「あなたは/君はどうしたい?」)によって惹かれ合ったのだ。まあ何にせよ、想像し甲斐(?)のある人(や、映画)と一緒にいたいってことよnya.

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日本語吹替、イヴォンヌ役井上喜久子さんの魅力といったら。陽性のイノセンスとしっとりテンダネス。さすが17さい。

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※1:逆に言えば、「めんどくせー」が上回ってくると、ああ自分はその人のことそんなに好きじゃないんだな、て気付いたりする。

※2:あと、今この映画を作るならチャーリーの守銭奴妻とイヴォンヌは絶対に人種が逆になるんだろうなあ…とか考えてしまわなくもない。