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ガンジスに還るのsuzukaのレビュー・感想・評価

ガンジスに還る(2016年製作の映画)
2.8
国立民族学博物館のみんぱく映画会にて鑑賞。
インドの死生観について、教授の方からの解説があってよかった。理解が深まった。

実際にガンジス川に行って感じた独特な雰囲気を思い出しながら、この映画を観た。

自分の死期を悟って家族のもとを離れてでも"解脱"のため神聖な地で死を迎えたいって無宗教にはなかなかわからない感覚。
でも、解脱を目指しているはずが転生したら何になりたいか語り合ってたり、ヨガもちょっとやった程度だったり、現代人の死や解脱に関する認識が曖昧で、宗教心強い国でもそうなっていくのかと少し近く感じられた。

ゆっくり流れていく時間の中で、主人公と一緒に"死"について考えられる映画。

父ダヤと母ラタの俳優さんは実生活で本当の夫婦らしい。

<ヒンドゥー教にとっての死生観>
ヒンドゥー教では、この世に生きるものは全て死ねばまた別のものに転生する(=輪廻転生)と考えられている。何に転生するかは前世での行い(=業、カルマ)によって決まる(=因果応報)。そのため、ヒンドゥー教徒にとって、死後の肉体は何の意味もなく、死後の魂がこの世に執着を残さないためにも出来るだけ早く火葬してしまうのが望ましいとされている。
ヒンドゥー教の死生観では、何度も生まれ変わり、病や老い、様々な悩みを経験しなければいけないことは苦である。魂が輪廻転生から解放され、宇宙の最高原理と合一した境地に達すること(神と一体化すること)がヒンドゥー教においては究極の価値と見なされてきた。これを解脱という。バクティやヨーガは代表的な解脱に至る方法である。バラナシの死はそういった修行を飛び越えて解説に至る方法ということになる。
しかし、現代の一般庶民にとって死や解脱にまつわる観念は難解で、解釈も曖昧に揺れ動く。
(三尾稔氏『ガンジスに還る』参考資料 引用)
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