蓼食う虫

エセルとアーネスト ふたりの物語の蓼食う虫のネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

よかった。

充実した公式紹介ページ↓

https://child-film.com/ethelandernest/

原作者が『さむがりやのサンタ』『スノーマン』、同じくアニメ映画化された名作『風がふくとき』のレイモンド・ブリッグズだとは知らなかった。

アーネストのコックニー訛りが耳に心地よい
(Blimey! の連発^^)

マイホームを手に入れた喜び
少しずつ手を入れて家具を増やし、
電話に車にテレビ 徐々に文明の利器を手に入れる
(こんな時代から電気自動車が!)

新聞やラジオから伴奏のように聞こえてくる時代の陰鬱な足音

"敵の怒りと力のすべてが
我々に向けられるだろう

ヒトラーは我々を破らねば
戦争に負けると知っている

我々が立ち向かえばヨーロッパは解放され
世界は陽の射す広い高台へ前進するだろう

しかし もし我々が負ければ
米国を含めた全世界は
新たな暗黒時代の深淵に沈むだろう"

(チャーチル)

そこで流れる"We'll meet again"
博士の異常な愛情を連想
(時は巡り、今はヒトラーならぬプーチンか…)

時を経るにつれ報じられるニュース。
広島の原爆投下
ソ連初の核実験
アポロの月面着陸

統合失調症の妻
子が産めないわけでもないのに、末代となるのか

アーネストの後退する生え際
車椅子に乗るエセル やがて記憶も衰えゆく

両親の最期(色褪せていく…「色」気とはよく言ったもんだ)の手描きスケッチ姿がリアル
身につまされて愛おしくも哀しい。
親も、そして我らも、次第にぼろぼろになり歳をとっていくんだね。

モデルとなった両親、写真ではずっと美男美女。
「比翼連理の契りなり」とは言うが、まさか同年に亡くなったとは。

『風』の主題歌はボウイで、こっちはマッカートニー。
蓼食う虫

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