「希望の灯り」
映画に救われたい、そんな人にこそ勧めたい作品。特別なことは何もない、ただ各々の日常が描かれるだけのこの映画が、今の私にとっては希望でした。
スーパーで働く人々を描く。ただそれだけなのに、どうしてここまで胸が締め付けられるんだろう。きっと、それは彼らがそれぞれ孤独を抱えていて、「スーパー」なんていうありふれた場所が彼らにとってかけがえのないものだと描かれていたからかもしれない。
ふと、スーパーって、未来で満ち溢れた場所だよなぁと、そんなことを考えたりもしました。食料を買うのも、日用品も、インテリアも、全て「明日」があるから買おうと思うのだろうし。
何より主人公を演じたフランツ・ロゴフスキの独特な雰囲気にやられてしまった。優しさの奥に潜む狂気というか、何も考えていないようで、全てを見透かされているような、そんな感じ。言葉数は極めて少ないのだけれど、彼がマリオンやブルーノとの出会いで表情が変わっていく様がとても印象的でした。
映像も素敵だった。一瞬一瞬を切り取ってスクラップにしたいくらい。音楽も良かったな〜。「美しく青きドナウ」が印象的だったし、何より店長(?)の「夜の時間へようこそ」が好きすぎる。
どの国にも、どの世界にも、懸命に今日を生きている人がいて、言葉や文化は違えど孤独を抱えながらそれぞれの人生を生きている。そんな人たちといつか一緒にお酒を飲みたいな〜とそんなことを感じました。