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クレイジー・フォー・マウンテンのSY3KRのレビュー・感想・評価

2.0
オーストラリア出身のドキュメンタリー作家で、数々のネイチャードキュメンタリーを手掛けてきたジェニファー・ピードンの新作。

まず、この映画は元々オーストラリア室内管弦楽団とのコラボレーションを目的としたものであって、一般上映は「ついで」であったことを念頭におくべきだ。本作が初めて上映された場所は、なんとあのオペラハウス。その後に映画館で上映され、オーストラリア国内の興行収入は2億円とそこそこの結果を出した。

他にも脚本家にイギリスの作家であるロバート・マクファーレン、ナレーションにはウィレム・デフォーを起用しており、ちょっと普通のドキュメンタリーでは考えられない人選と規模感だ。日本でも電⚫︎や博⚫︎堂がスポンサーになってN響相手に作りそうな内容だと言えば、ピンとくるだろうか。

作り手としては目と耳を同時に楽しませるためベストを尽くしたのかもしれないが、内容はどう見ても「音楽ありき」になっている。ダイジェスト仕様になっているのは、楽曲のイメージにその都度、映像を合わせる必要があったからだろう。ただし別段合わせ方が上手いわけでもなく、中盤のエクストリームスポーツのツギハギに至っては、逆に発想の乏しさすら感じる。

というわけで、本作は完全に管弦楽団の背後にあるスクリーンで流すために作られた映画であった。IMAX×ドルビーアトモスの環境下であればまだしも、自宅や並の劇場ではこの映画の面白さがまるで伝わってこない。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:87%
・観客支持率 :63%
「本作は、地球上で最も印象的な自然の脅威と人間の関係性を、視覚的にスリリングに、そして驚くほど感動的に描いている。」
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